研究概要 |
1,本研究は,中国における産業立地の展開と地域連隊システムを明らかにすることに重点を置き,対外開放による外資導入の状況と広域経済圏の形成についての調査するのを目的としている.産業立地との関連で中国は、1996年からスタートした第九次五カ年計画と2010年までの長期計画を提起したところである。中央政府は、全国的な産業政策を打ち出すとともに,各地方に対してそれぞれの特性を生かした支柱産業を中心にした経済発展を促してきている。 2,各地方の産業立地を整える上では,外資の役割がますます大きくなってきた。〓小平が1992年の年初に「南巡講話」を出して以来、中国各地の対外開放は急速に進み,外資の受け入れ態勢も本格化した。今年度は,主として北京・天津を中心に首都広域経済圏で調査研究を進めたが,成果としてはまず,日系企業の他に韓国,台湾,アメリカ,インドネシアなどの多様な外資企業を訪問し,中国投資への意識の違いを認識できた。もう一つの成果は,当初予定していた国有企業と郷鎮企業との比較調査に加え,私営企業の経営者にもインタビューすることができ,中国経済を構成する各種経済要素の外観を描く条件を得たことである。 3,首都広域経済圏は「環渤海地域」の中心に位置し,来世紀に向けて中国経済の牽引車となる条件を有していることを改めて認識した。ただ地域間の協力関係は,いまだに掛け声以上のものではなく,各地方政府は相変わらず中央と外資への依存をさらに強めようとしている。中国各地の指導者には若くて有能な人材が増えてきており,今後の政策決定は地元の強味を生かしたより柔軟な方向を追求する可能性が高まってきているのを知ることができたのも大きな収穫であった。
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