研究分担者 |
路 林暑 国務院, 発展研究中心, 主任研究員
李 暁西 国務院, 研究室, 主任研究員
植田 政孝 大阪市立大学, 経済研究所, 教授 (30067855)
中川 信義 大阪市立大学, 経済研究所, 教授 (70047158)
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研究概要 |
1.本研究は、中国の産業立地と投資環境及び地域連携システムを調査することに重点を置き,外資導入と国内の地域間協力について研究することを主たる目的としている。中国は,1996年からの第9次5カ年計画と2010年へ長期計画を提起し,来世紀に向けた経済発展を展望した。さらに1997年7月1日には香港の主権回復を果たし,国際的な状況も大きな変化を迎えた。こうした情勢の中で,97年後半から生じたアジア通貨・金融危機は,国際経済における中国の位置をより重要なものとしている。 2.中国の産業立地と投資環境は,一時期各地で雨後の竹の子のように生じた開発区の整理がそれなりに行われてきたものの,相変わらずそれぞれがハイテク・ニューテクを中心とする産業の発展を主張している。とはいえ本年度の調査に置いて中心地域とした上海経済圏,とりわけ長江流域では,オートバイ・自動車産業の発展に条件が整いつつある。自動車産業への外資の参入は、既に日米欧の多国籍企業相互の熾烈な争いの場を形成している。今回の調査では,とりわけドイツの自動車メーカーによる戦略拠点づくりと中国なりの来世紀への展望についての情報を得ることができた。 3.中国の地域連関システムは、依然として相互協力の難しさが存在することを再認識した。山東省の拠点をなす煙台と青島は,近接した地域でありながらバラバラに経済政策を策定していた。こうした状況は省を跨げばなおさらで、シンガポールが建設している蘇州の工業圏区から上海に入ったとたん,間をつなぐ丸木橋はガタガタで,道路はでこぼこなのを発見した。これに比べて当地の県人民政府の建物はすばらしく目を見張るほどだった。とはいうものの,中国各地方の指導者は若返り化・知識化が進み、今後の政策をより現実性を持つものに変えていく可能性は十分存在していると見えた。
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