研究課題
(1)調査の構成メンバーによる会合においては、欧米におけるコミュニティ・ポリシング(地域安全活動)の状況の把握が重要であるとして、代表的なアメリカとイギリスにおける理論と現状を資料等において調査した。その結果、とりわけ近年、財産犯の激増に伴い、地域居住地区の安全に対する意識はきわめて高まっており、日本型の交番制度がかなり導入されていることが分かった。今後、警察庁の地域課とも連携をとって、情報の収集に努め、各地の交番の需要度やその社会的基盤を研究する必要がある。(2)イギリスで実施された予備調査の結果a.デヴォン・コンウォール警察における調査 この地区の丘陵地帯の一角に交番と同様の警察官詰所があり、一人の警察官が勤務し、住民のニーズに対応している。基本的にはインフォーマルにもめ事を処理する場合が多く、家庭内暴力などがケースとして最も多い。ただ、勤務状況は必すしも適正ではなく、人材が不足がちで、また情報が中央集中化しており、本部と交番との間に十分な意思の疎通が見られない。b.レスターシャー警察における調査 この地区は、人種混合の著しく、警察の対応がより困難なところであるが、それだけに警察官と住民の良好な関係維持が課題となっている。交番類似の住宅兼警察署がみられたが、同担当地区は、白人の居住する地区で、近隣監視運動も進んでいるところであり、今後は人種混合地区での交番活動が小能かが注目される。(3)全体的に、交番に類似する制度を有する国・地域は多いが、それを支える社会文化基盤は著しく異なっており、それに依拠して警察官と住民の関係も複雑である。それらの事項を重点的に、今後の実態調査で明らかにする必要がある。
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