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1997 年度 実績報告書

東・南部アフリカにおける食糧生産の商業化がもたらす社会再編の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 08041079
研究機関近畿大学

研究代表者

池上 甲一  近畿大学, 農学部, 助教授 (90176082)

研究分担者 スクメ O.C.  ジンバブエ国, ジンバブエ大学, 講師
ムランビティ M.E.  タンザニア国, ソコイネ農科大学, 教授
吉国 恒雄  専修大学, 商学部, 助教授
杉村 和彦  福井県立大学, 経済学部, 助教授 (80286913)
末原 達郎  龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (00179102)
キーワードアフリカ農業 / タンザニア / ジンバブエ / ペザント / 大農経営 / 農業の商業化 / 農村ブルジョアジー / 灌漑
研究概要

タンザニアでは、キリマンジャロ、イリンガ、モロゴロの各州における農村調査とダルエスサラーム市の市場調査を行った。キリマンジャロ州では、日本のODAをきっかけに高収量品種を使う灌漑稲作が数千ヘクタールに及ぶ規模で広がっている。ここの上層農家は、ペザントというよりはむしろファーマ-と規定されるべき価値観と行動様式を持つに至っている。イリンガでも、商人経験を持つ農民のトマト導入以降一種の「トマト熱」が湧き起こり、これが農民層の分化と商品経済的行動を推し進めている。ところが、主要出荷先であるダルエスサラームの公営市場では、特定の仲買人に出荷が限定されており、血縁・地縁に基づく固定的な関係を認めることができる。
ジンバブエでは、小規模灌漑農業の聞き取り調査と黒人中規模農民に関する実態調査を行った。ジンバブエでは、白人体制への反発が時に、97年12月の政府声明のような土地再配分政策として現れるが、その実現はなかなか困難である。その中で、黒人の「篤農家」が中規模農場主として生成しつつあり、ここに、黒人農民内の亀裂を秘めつつも、アフリカ的資本主義の端緒をみることができる。上向展開できない圧倒的多数の小農民が集住するコミュナル・ランドでも、小規模畑地灌漑による商品生産へと展開している事例が存在する。
暫定的に、商人や公務員などの農村ブルジョアジーが、農村の発展にかなり大きな役割を果たしているといえる。ジンバブエ小規模灌漑農業の場合には、旧来の慣行とほぼ無縁の開拓地に選ばれた若手農民が集まったことによって、彼ら自身が農村ブルジョアジーへと上向する可能性をつかみつつある。しかしながら、富者への呪いや出荷と仲卸の固定的関係など伝統的社会関係もまた強固であり、アフリカ農村社会はゆらぎの中にある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 池上 甲一: "東アフリカ経済の構造と課題" 末原達郎編『アフリカ経済』世界思想社. 29-47 (1998)

  • [文献書誌] 池上 甲一: "タンザニア経済" 末原達郎編『アフリカ経済』世界思想社. 48-65 (1998)

  • [文献書誌] 末原 達郎: "アフリカ経済をどうとらえるか" 末原達郎編『アフリカ経済』世界思想社. 1-26 (1998)

  • [文献書誌] 吉国 恒雄: "Before the Stormy Years : Native Welfare′ Community Centralization,and Urban Protest in the Harare Township,1935-1947" アフリカ研究. 50号. 19-28 (1997)

  • [文献書誌] 杉村 和彦: "ザイール川世界" 宮本・松田編『新書アフリカ史』講談社. 64-91 (1997)

  • [文献書誌] 辻村 英之: "タンザニアにおける構造調整政策下での新たな農村協同組合育成手段に関する研究" 協同組合奨励研究報告. 23編. 246-276 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2015-04-17  

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