研究課題/領域番号 |
08041079
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究分担者 |
スクメ O.C. ジンバブエ国ジンバブエ大学, 上級講師
辻村 英之 金沢大学, 経済学部, 講師 (50303251)
杉村 和彦 福井県立大学, 経済学部, 助教授 (80286913)
吉国 恒雄 専修大学, 商学部, 教授
末原 達郎 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (00179102)
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キーワード | アフリカ農業 / タンザニア / ジンバブエ / 食糧生産 / ペサント / 潅漑稲作 / マテンゴ・ビット / 潅漑農業 |
研究概要 |
ジンバブエでは、アフリカ人による小規模商業的農業(SSC)が形成過程にある。SSCはアフリカ人の資本主義的大農業制への参加を意味する。SSCには3類型が存在するが、特に篤農型SSCは社会変革の推進力となり得る可能性を持つ。しかし篤農型SSCの追求理念とコミュナルランド農民のそれには大きな距離があり、大多数のコミュナルランド農民はいぜんとしてペザント的世界に住んでいる。しかし彼らといえども小商品生産を導入せざるを得ない。この点で、都市近郊農村の「チメ(小さな泉)農業」が注目されるが、この分野はほとんど研究されておらず、今後継続的に調査を続ける必要がある。SSC農民とコミュナルランド農民との間に存在するのが再入植地の近代的小規模潅漑農業に従事する農民達で、彼らは篤農的な自律的発展を成し遂げつつあると評価できる。このように、SSC、コミュナルランド、再入植地のいずれにおいても篤農的な農民が上向展開を行う中で社会再編の駆動力になっている。 タンザニアでは、主にマテンゴ・ピット農法で知られるルブマ州マテンゴ社会の特質と変動を分析した。この社会では、集約的農業に支えられた昔からの高密度集落とそこから移動した新しい低密度集落とがセットとして機能する構造が作られている。前者の定着社会と後者の流動的社会との組み合わせが商品経済という大時代状況へのペザント的読み替えを可能としており、ここにマテンゴ社会の特質を認めることができる。マテンゴ社会では商品経済への対応戦略としてコーヒーが選択された。コーヒーは世界市場商品であり、農民は複雑な流通構造と価格変動に翻弄されがちである。そこで別のコーヒー主産地であるキリマンジャロ州におけるコーヒー流通自由化後の価格形成メカニズムを分析した。
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