1998 年度実績報告書

思考パターンの文化差に関する心理・人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号	08041087
研究機関	国際日本文化研究センター
研究代表者	河合隼雄国際日本文化研究センター, 所長 (00025107)
研究分担者	杉岡津岐子吉備国際大学, 社会福祉学部, 教授 (20259401) 朱捷同志社女子大学, 短期大学部, 助教授 (40235700) 小松和彦国際日本文化研究センター, 教授 (90111781) 小野芳彦北海道大学, 文学部, 教授 (20126022) 江口一久国立民族学博物館, 第三研究部, 教授 (90045261)
キーワード	昔話 / 心理学的研究 / 記憶再生 / カメルーン / ベトナム / フランス / ミクロネシア / 思考パターンの文化差 / 教育言語 / 高校生
研究概要	本研究はヨーロッパと日本の異類婚の昔話2話を材料とする記憶再生の心理学的実験を通じて「人間の思考パターンの文化差」を究明することを目的としている。本研究は物語が記憶し再生される過程において再生文の内容が個人に変容されるメカニズムに文化的な影響がどのように関わってくるのかを各文化集団の記憶再生のパターンを定量的、定性的に比較するものである。また、他文化集団の都市化された地域での、固有性と西洋型文明の影響も調べようとするものである。すでに2年間で得られたデータの分析と新規データの入手、追加データの入手、追跡調査の実施により、グローバルに、また時系列においても調査を実施し、成果刊行と行なうことを目的としている。具体的な方法としては(ばら-ロートリンゲン地方、猿婿-日本)を高校生(16才平均)に聞かせ、直後と1ケ月後にその物語を筆記再生してもらう。過去の得たデータを分析しつつ、新たなデータを得るべく本年度は、第一に教育言語による影響を調べるために、前回フランス語で実験をおこなったカメルーンにおいて英語による実験、調査、データ処理およびベトナムにおいてベトナム語による実験、調査、データ分析を実施した。さらに追跡研究としてミクロネシア半島・フランスでの調査を実施した。本年度は、カメルーンのマロアで、2校の英語教育校で、英語のテキストにより、2回にわたり実施し、猿媚44名・ばら65名のデータが得られた。フランス語で行なった結果と大差ないことが認められている。加えて英語とも比較検討する余地があることが分かった。ベトナムでの1回目のデータは猿婿117名・ばら118名が得られた。その傾向は中国、インドネシア、インド、カメルーンなどと類似していることが認められた。フランスでは平成8年度に実施した同じ高校で再調査し時系列で分析するデータを得た。これにより彼らの驚異的な記憶力と的確な把握が認められた。また性差により受け取り方の相違が認めらたことも新しい発見であった。ミクロネシア連邦のトラック諸島では激動する社会にある高校生の感受性と伝統回帰の風潮の中での自我の確立などがこの実験結果にどのように反映されるかが課題であったが興味深いデータが得られた。これらの結果は国内研究者の中間報告会において発表・検討されており、3年間の学術調査報告および総合的所見は成果は報告書に掲載されているものである。

研究成果

(11件)

すべてその他

すべて文献書誌 (11件)

[文献書誌] 小松和彦: "分散・個別化する民族宗教研究" 日本民俗学. 214号. 43-59 (1998)
[文献書誌] 小野芳彦: "Transformation of Japanese Society as a Result of Information Revolution" Institute for Social Conflict Research and IRCJS. 第10号. 22-41 (1998)
[文献書誌] 朱,捷: "「匂」という字の由来及びそこからみる日本人の嗅覚と中国人の聴覚" 同志社女子大学総合文化研究所研究紀要. 第49巻. 20-40 (1998)
[文献書誌] 杉岡津岐子: "思考パターンの文化差に関する心理学的研究" 日本教育心理学会第38回総大会論文集. (1998)
[文献書誌] 杉岡津岐子: "Young Children Remembrance of an Animate Story's The Difference in Reproduction to Difference Listeners" Psychologia-An International Journal of Psychology in the Orient. 第39回. 23-28 (1996)
[文献書誌] 小松和彦: "怪異・怪談をみる感性-その構造と変遷" 山寺芭蕉記念館紀要. 第3号. 106-116 (1998)
[文献書誌] 河合隼雄: "日本人の心のゆくえ" 岩波書店, 229 (1998)
[文献書誌] 河合隼雄: "ライフ・スタイル" 岩波書店(谷川俊太郎と共著), 233 (1998)
[文献書誌] 江口一久: "北部カメルーン・フルベ族の民間説話集IV" 松香堂, 1206 (1998)
[文献書誌] 朱捷: "比較文明学の理論と方法" 朝倉書店, 208 (1999)
[文献書誌] 杉岡津岐子: "子ども学" 朝倉書店, 241 (1994)

1998 年度 実績報告書

思考パターンの文化差に関する心理・人類学的研究

研究代表者

河合 隼雄 国際日本文化研究センター, 所長 (00025107)

研究成果

[文献書誌] 小松 和彦: "分散・個別化する民族宗教研究" 日本民俗学. 214号. 43-59 (1998)

[文献書誌] 小野 芳彦: "Transformation of Japanese Society as a Result of Information Revolution" Institute for Social Conflict Research and IRCJS. 第10号. 22-41 (1998)

[文献書誌] 朱,捷: "「匂」という字の由来及びそこからみる日本人の嗅覚と中国人の聴覚" 同志社女子大学総合文化研究所研究紀要. 第49巻. 20-40 (1998)

[文献書誌] 杉岡津岐子: "思考パターンの文化差に関する心理学的研究" 日本教育心理学会第38回総大会論文集. (1998)

[文献書誌] 杉岡津岐子: "Young Children Remembrance of an Animate Story's The Difference in Reproduction to Difference Listeners" Psychologia-An International Journal of Psychology in the Orient. 第39回. 23-28 (1996)

[文献書誌] 小松 和彦: "怪異・怪談をみる感性-その構造と変遷" 山寺芭蕉記念館紀要. 第3号. 106-116 (1998)

[文献書誌] 河合 隼雄: "日本人の心のゆくえ" 岩波書店, 229 (1998)

[文献書誌] 河合 隼雄: "ライフ・スタイル" 岩波書店(谷川俊太郎と共著), 233 (1998)

[文献書誌] 江口 一久: "北部カメルーン・フルベ族の民間説話集IV" 松香堂, 1206 (1998)

[文献書誌] 朱 捷: "比較文明学の理論と方法" 朝倉書店, 208 (1999)

[文献書誌] 杉岡 津岐子: "子ども学" 朝倉書店, 241 (1994)

1998 年度実績報告書

河合隼雄国際日本文化研究センター, 所長 (00025107)

[文献書誌] 小松和彦: "分散・個別化する民族宗教研究" 日本民俗学. 214号. 43-59 (1998)

[文献書誌] 小野芳彦: "Transformation of Japanese Society as a Result of Information Revolution" Institute for Social Conflict Research and IRCJS. 第10号. 22-41 (1998)

[文献書誌] 小松和彦: "怪異・怪談をみる感性-その構造と変遷" 山寺芭蕉記念館紀要. 第3号. 106-116 (1998)

[文献書誌] 河合隼雄: "日本人の心のゆくえ" 岩波書店, 229 (1998)

[文献書誌] 河合隼雄: "ライフ・スタイル" 岩波書店(谷川俊太郎と共著), 233 (1998)

[文献書誌] 江口一久: "北部カメルーン・フルベ族の民間説話集IV" 松香堂, 1206 (1998)

[文献書誌] 朱捷: "比較文明学の理論と方法" 朝倉書店, 208 (1999)

[文献書誌] 杉岡津岐子: "子ども学" 朝倉書店, 241 (1994)