研究課題/領域番号 |
08041087
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
河合 隼雄 国際日本文化研究センター, 研究部, 所長 (00025107)
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研究分担者 |
杉岡 津岐子 吉備国際大学, 社会福祉学部, 教授 (20259401)
朱 捷 同志社女子大学, 短期大学部, 助教授 (40235700)
小松 和彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90111781)
小野 芳彦 北海道大学, 文学部, 教授 (20126022)
江口 一久 国立民族学博物館, 第三研究部, 教授 (90045261)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 昔話 / 異類婚 / 記憶再生 / 物語スキーマ / 西洋化 / 日本 / 人間の思考パターンの文化差 / 高校生 |
研究概要 |
本研究はヨーロッパと日本の異類婚の昔話を材料とする記憶再生の心理学的実験を通じて「人間の思考パターンの文化差」を究明することを目的としていた。本研究は物語が記憶し再生される過程において、その内容が変容されるメカニズムに文化的な影響がどのように関わってくるか、各文化集団の記憶再生のパターンを定量的、定性的に比較検討した。また、現代の西洋化された都市において調査することによって、文化の固有性と西洋化の影響が反映されるものと考えた。 調査の方法は2つの昔話(ロートリンゲン地方-ばら、日本-猿婿)を高校生(平均16歳)に聞かせ、直後と1ケ月後にその物語を筆記再生、物語の印象等を調べる質問紙を実施。前3年の韓国、カメルーン(仏語)、中国、インドネシア(バリ)、トルコ、インドでの成果を踏まえ、調査地をヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ)、ブラジル、インドネシア(ジャワ)、カメルーン(英語)、ベトナム、ミクロネシアに定めた。その結果、昔話の記憶には通文化的なパターンがあることが認められた。また、物語のスキーマ(枠組)が文化的に生きていて、日常において構造化された物語がしばしば話されている文化圏(インド、インドネシア、カメルーン)では、物語の忘却率が小さく物語の枠組みを保ちながらの各文化固有の改変が起きていることが明らかにされた。ドイツとブラジルでは忘却率が大きく、特に物語の後半の忘却率が高い。また、物語の印象評定等の分析でもばらつきが大きい。これらの国では昔話のような物語スキーマの存在が弱くなっているのではないかと考えられた。カメルーンのフランス語でのデータとフランスでのデータ、カメルーンでの英語のデータとイギリスでのデータは相関が高く、さらに同様の研究を継続して、教育言語の問題やまた、旧植民地とその宗主国との関係なども詳しく検討してみたいと考えている。 詳細は研究成果報告書にまとめた。
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