研究分担者 |
SHTEINBERG G ロシア科学アカデミー, 火山地球ダイナミクス研究所, 所長
長谷川 卓 金沢大学, 理学部, 助手 (50272943)
小玉 一人 高知大学, 理学部, 助教授 (00153560)
前田 晴良 京都大学, 理学部, 助教授 (10181588)
重田 康成 国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (30270408)
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研究概要 |
平成5-6年度の第一次調査(代表者加瀬友喜)に引き続き,サハリン南西端クリリオン地域の白亜系を中心とした野外調査と,サハリンの白亜系模式地のナイバ川流域の補足調査を行った.クリリオン地域(旧能登呂半島)は北海道の白亜系との対比にはきわめて重要な位置にあるが,軍事的要衝として厳しく立入りが制限されていたためこれまでほとんど調査がなされていなかった.今回の調査ではクリリオン西岸地域のガルブ-シャ川と同東岸地域のクラ川のセクションを中心に,アンモナイトほか大型化石による生層序学的検討をした.その結果,クラ川ではブイコフ層上部からクラスノヤルカ層にわたって保存のよい大型化石が連続して多産し,これまで北海道やサハリンで断片的にしか知られていなかったカンパニアン階の生層序を一つのルートで確認することができた.とくに,カンパニアン階最上部を指示するPacydiscus awajiensisの産出を認め,"Pachydiscus"soyaensisとP.awajiensisの産出する層準の間に,これまでに知られていない化石群を見出すことができたことが注目に値する.カンパニアン階の対比を行う上で,クラ川ルートは北太平洋地域の重要な基準セクションとなる.ナイバ川支流のクラスノヤルカ川では,従来の生層序調査に加えて,36地点(約250点)の古地磁気測定試料を採取した.その結果,サントニアン期まで続いた白亜紀磁気静穏期の正磁極期以後,カンパニアン〜マ-ストリヒシアン期の古地磁気層序との対応を明らかにし得た.並行して検討を行っている,炭素の同位体比層序とあわせて,北太平洋地域における上部白亜系のもっとも細密な生層序・年代層序をサハリンで確立できる見通しである.また,海成動物化石の他に,陸源の植物遺体の試料収集・検討も行っており,北太平洋地域における海陸両域の白亜紀事変の多角的検討が可能となった.
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