環北極雪氷圏気候・環境変動研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08041114
• 研究機関: 国立極地研究所
• 研究代表者: 渡邊 興亜 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (60111861)
• 研究分担者: CLAUSEN H.B. コペンハーゲン大学, 教授 ; FISHER D. カナダ地質調査所, 教授 ; HAGEN J.O. オスロ大学, 教授 ; SAVATYUGIN L ロシア北極南極研究所, 教授 ; STAUFFER B. ベルン大学, 教授 ; 小林 俊一 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (70001659) ; 宮原 盛厚 地球工学研究所, 研究員 ; 西尾 文彦 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40044789) ; 橋田 元 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助手 (00280537) ; 牛尾 収輝 国立極地研究所, 研究系, 助手 (50211769) ; 本山 秀明 国立極地研究所, 研究系, 助手 (20210099) ; 神山 孝吉 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (70135507) ; 亀田 貴雄 北見工業大学, 工学部, 助手 (00233974) ; 庄子 仁 北見工業大学, 工学部, 教授 (50201562) ; 高橋 修平 北見工業大学, 工学部, 教授 (50125390) ; 成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662) ; 本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
• キーワード: 気候変動 / 環境変動 / 環北極圏 / 雪氷圏 / 地球環境 / 物質フラックス / 環境指標シグナル / 雪氷コア

研究概要

環北極雪氷圏として極域カナダ、極域ロシア、ノルウェー極域、東部シベリア、グリーンランドを研究地域に設定した。極域ロシア、ノルウェー極域、東部シベリア、グリーンランドには調査観測隊員を派遣した。各地域で各種環境試料の採取を実施し、北極域での環境変化の現況を調査した。ノルウェー極域では雪氷圏と海洋圏を取り扱い、各種環境指標物質の現在の輸送状況の解明に焦点を当てた。同時に同地域の雪氷コアの解析を実施した。極域カナダについてはカナダ地質調査所との共同研究のもと同地域の雪氷コアを国内に輸送し主に雪氷物理解析の準備を行った。ここでは過去の環境試料として現間氷期の雪氷コア試料のみならず氷期の氷まで取り扱うことが出来た。極域ロシアでは過去の雪氷試料の採取・解析によって過去の物質輸送経路の解明を行った。東部シベリアでは極域環境を支配するシベリア高気圧の発達に伴う雪氷現象を、広域雪氷観測によって捉えることに努めた。グリーンランドでは国際共同研究(North Grip)の一翼をデンマーク・コペンハーゲン大学、ドイツ・アルフレッドウェゲナー研究所とともに担い雪氷深層掘削に参加した。今後のコア解析に備えるとともに、日本の南極氷床深層掘削と連係し両極域を対象としたグローバルな地球環境の研究を展開していく。
上に述べたように環北極雪氷圏気候・環境変動研究として幅広い調査・観測を実施したが、今後取得される雪氷コア解析データを議論する過程で環北極雪氷圏の気候・環境変動研究として集約させていきたい。また雪氷圏における物質フラックスの解明に努力し雪氷試料中の環境指標シグナルを明らかにする。

研究成果

• [文献書誌] Watanabe,O.: "Japanese Glaciological activities in the Arctic region" Mem.Natl Inst.Polar Res.,Spec.Issue. 51. 330-340 (1996)
• [文献書誌] Clausen,H.B.: "Scientific research collaboration efforts for Greenland ice core studies" Mem.Natl Inst.Polar Res.,Spec.Issue. 51. 341-346 (1996)
• [文献書誌] Suzuki,T.: "Concentration of 210Pb and 210Po in the atmosphere of Ny-Alesund,Svalbard" Mem.Natl Inst.Polar Res.,Spec.Issue. 51. 237-241 (1996)
• [文献書誌] Kawamura,K.: "Vertical distributions of low molecular weigth dicarboxylic acids in the Greenland ice core" Mem.Natl Inst.Polar Res.,Spec.Issue. 51. 373-383 (1996)
• [文献書誌] Uchida,T.: "Ice core analyses and borehole temperature measurements at the drilling site on Asgardfonna,Spitsbergen,in 1993" Mem.Natl Inst.Polar Res.,Spec.Issue. 51. 385-394 (1996)
• [文献書誌] Miyamoto,A.: "Ice sheet flow behaviors derived from uniaxial compression tests of the GRIP deep ice core" Symp.on Antarctica and Gloval Change,13-18 July. (in press). (1997)
• [文献書誌] Dahl-Jensen,D.: "Flow properties of the ice from the GRIP ice core-the reason for folds?" J.Geophys.Res.(in press). (1997)
• [文献書誌] Johnsen,S.J.: "The delta 18O record along the GRIP deep ice core and the problem of possible Eemian climatic instability" J.Geophys.Res.(in press). (1997)
• [文献書誌] Takahashi,S.: "preliminary observation around ice caps in Severnaya Zemlya" Bulletin of Glacier Res.15(submitted). (1997)
• [文献書誌] Azuma,N.: "A shallow ice-core analysis at Greenland" Bulletin of Glacier Res.15(submitted). (1997)
• [文献書誌] Miyamoto,A.: "Mechanical property of the ice core containing cloudy band" Proceedings of the NIPR Symp.on Polar Meteorol.Glaciol.11(submitted). (1997)
• [文献書誌] Matsuoka,K.: "A characteristics of AC-ECM signals obtained by use of Vestfonna ice core,Svalbard" Proceedings of the NIPR Symp.on Polar Meteorol.Glaciol.11(submitted). (1997)
• [文献書誌] 渡邊興亜: "朝倉書店" 氷の中の周期性、講座「文明と環境」第1巻地球と文明の周期, 266 (1996)