研究課題/領域番号 |
08041119
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
斎藤 英俊 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (30271589)
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研究分担者 |
鈴木 伸治 東京大学, 工学部, 助手 (80272368)
上野 勝久 文化庁, 文化財保護部, 文化財調査官
江面 嗣人 文化庁, 文化財保護部, 文化財調査官
木村 勉 奈良国立文化財研究所, 建造物研究室, 室長 (60280608)
西村 幸夫 東京大学, 工学部, 教授 (20159081)
伊東 孝 日本大学, 理工学部, 教授 (30287578)
宮澤 智士 長岡造形大学, 造形学部, 教授 (10000473)
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キーワード | ブ-タン / 文化財 / 歴史的建造物 / 歴史的集落 / 仏教寺院 / 民家 / 城郭 / 歴史的土木構造物 |
研究概要 |
調査は日本からの調査隊14名に、ブ-タン政府内務省および文化特別委員会の建造物修復技術者2名を加えた16名で実施した。調査地点はPARO,THIMPHU,WANGDIPHODRANG,TONGSA,JAKARなどのブ-タンの西部・中央部地域で、調査による走行距離は1,200km近くに及んだ。調査対象はゾン5カ所、タゾン2ヵ所、ラカン1ヵ所、チョルテン10ヵ所、民家8ヵ所、集落11ヵ所、橋梁等土木遺構18ヵ所、製材所1ヵ所であった。 1.ゾンおよび重要なラカンの維持・修理は、内務省および文化特別委員会の所管として行われているが、文化財の価値の保存の理念と体制は確立されていない。修理の際の学術的な調査、古材再用の努力等は見られず、歴史的事実に反する改変、新たな装飾の付加等が行われている。しかし、一部の修復技術者は文化財保存の意味と手法を理解しており、また、大工・彫刻等の職人は伝統的な技術を充分に維持している。 2.調査を行った5ヵ所のゾンは城塞としての防御機能、建築構造および意匠、周辺の環境との調和など、いずれも顕著な高い価値を有している。しかし、基壇石垣の緩み、地盤不陸による建物の傾斜、屋根の破損、雨漏りによる木部の腐朽と壁面の損傷、虫害などがみられ、修理の必要に迫られているものが多い。また、修理が行われたTONGSAゾンでは全て新材となり、形態も改変されていて、文化財的価値の多くを失っている。 3.民家は版築または煉瓦を木造の混構造による独特の形態を持っている。建築後100年以上経過した民家が相当数存在すると推測されるが、山間部の農村においても古い農家を壊して新築するケースが早い速度で進行している状況がみられるので、民家調査を保存対策を急ぐ必要がある。 4.その他、集落の構成、屋根付き橋の歴史的価値、建築技法、装飾の年代的変遷等の新たな知見が得られた。
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