研究概要 |
平成8年度の海洋性雷嵐に伴う雷活動の観測は、オーストラリア北部の雨期開始直前に当たる平成8年11月の一ヶ月間,ダ-ウィン郊外のロバートソン及びカウワンディの二地点に干渉計システムを設置・稼働することにより行った。この間における同地域での雷嵐活動は,11月4日,5日,6日,17日,19日,20日,21日の合計7日間で,当初の予想より全発雷日数は少ないものの,19,20日の両日の雷活動はとりわけ活発で解析に足る良質のデータを多数取得することがで来ている。さらに19日の雷活動期の終焉期には8例の正極性対地放電(落雷)が記録されており,夏季において正極性落雷は「雷活動の終焉期にしばしば観測される」と言う通説が,熱帯収束帯の雷活動にも適用可能であることを予感させる観測結果となっている。また本プロジェクトの本来の目的の一つである,雷放電路三次元可視化のための干渉計による同時観測例は,合計25例記録されており,現在その解析中で,近日中に関連学会で発表すると共に学術誌に投稿する予定でその準備中である。本プロジェクトは,岐阜大学,オダゴ大学(ニュージランド),グローバルライトニングテクノロジー(オーストラリア)との共同研究という形で実施されているが,岐阜大学は雷撃進展様相の観測及び全方位型ビデオ観測,オタゴ大学はELF/VLF観測,グローバルライトニングテクノロジーはロケット誘雷実験及び雷撃電流観測を実施,各々の成果が期待されている。なおロケット誘雷実験に関しては,今回の期間中には成功するに至っていないことを付記しておく。 また岐阜大学の雷撃進展速度の観測は,干渉計による三次元雷放電路可視化の結果との比較により,更なる成果が期待でき解析結果を持ち寄った上で検討会を開催の予定である。
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