研究概要 |
アジア諸国(韓国,インド,台湾,インドネシア,タイ,ネパール,中国)から分離されたジャガイモ疫病菌について,交配型,メタラキシル耐性,アイソザイム多型,mtDNA多型について分析した。インド,台湾,中国北部からの菌株はA1交配型,韓国,インドネシアからの菌株はA2交配型であった。両交配型が同時に分離されたのはタイ,ネパール,中国内陸部の二,三の場所でのみだった。インド,タイ,ネパール,そして中国南部のすべての菌株,および台湾,中国内陸部のほとんどの菌株はメタラキシル感受性であった。一方,韓国からの菌株(1菌株を除く),インドネシアの全て,そして中国北部の41菌株中11菌株は耐性であった。分離された菌株は,アイソザイムの遺伝子型から,A〜F型の6遺伝子型系統に分けられた。A型は,台湾の42菌株,タイの23菌株,ネパールの46菌株,中国北部の1菌株,中国南部の2菌株,B型は,インドの12菌株とネパールの18菌株,C型は,タイの32菌株とネパールの34菌株,D型は,韓国の16菌株とインドネシアの4菌株,E型は,中国内陸部の43菌株と中国南部の14菌株,F型は,中国北部の40菌株と中国内陸部の9菌株にそれぞれ認められた。A型,B型は最近まで世界的に広がっていた古い菌株群,C型はメキシコ以外でA2交配型が現れた以後に確認された新しい菌株群,ポーランドと日本以外では見つかっていないD型と,その他E型,F型はアジアに特異的と推察した。ほとんどの菌株はmtDNA多型とアイソザイム多型には密接な関係が認められた。すなわち,Iaタイプはアイソザイム遺伝子型B,CまたはE型,IbはA型そしてIIa型はD,F型に属した。
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