研究分担者 |
SRIHADI Agun インドネシア国立ボゴール農業大学, 獣医学部, 助教授
WORAWUT Rerk タイ国立カセサート大学, 獣医学部, 助教授
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物部, 研究官 (30249908)
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
九郎丸 正道 東京大学大学院, 農学生命科学研究科, 助教授 (00148636)
RWRMAMNUATCHOKE Worawut Kasetsart University, Thailand, Associate Professor
AGUNGPRIYONO Srihadi Bogor Agricultural University, Indonesia, Associate Professor
|
研究概要 |
インドネシア,タイおよびラオスでツパイの調査・研究を3年間にわたり実施した。 ツパイ類の種間・属間の遺伝分化を定量するため、ミトコンドリアDNAのCOII(cytochrome oxidase subunit II)領域の塩基配列を決定し,東南アジアのコモンツパイの遺伝的な多様性について、検索した結果,ラオス、タイ、スマトラの12地区で捕獲した58匹のコモンツパイのCOII DNA(684bps)の解析で38のタイプが明らかとなった。これらは南型と北型とに大別され、塩基配列による分岐によるこれらの違い(0.1994)は、ヒトとチンパンジーとの差(0.1054)より約2倍も大きかった。故に今回の成績は、マレー半島基部のクラ地峡(北緯10度)より北に分布するツパイをTupaia belangeri、南に分布するものをT.glisとした先人の形態学的および染色体数による分類を基本的には支持したが、両者をクラ地峡で分けることは支持できなかった。即ち、今回の成績はクラ地峡の南のHat Yai(北緯7度)周辺では北型と南型の両者が混在しており、北緯7度あたりが両者を分ける境界領域であるようだ。ミトコンドリアDNAは母からしか継承されないので、この遺伝子マーカーの地理的興味ある分布は交雑の結果かも知れないし、非対称性の遺伝子浸透を反映しているのかも知れない。この点を明らかにするためには血清蛋白や核DNAの様な性と関連するマーカーを用いた更なる研究が必要である。しかし,頭蓋の形態計測の結果,南型集団が北型のそれより有意に大きく,主成分分析でもこのことは裏付けられたが,主成分得点は南北両集団を明確に分離するまでには至らなかった.以上の成績はコモンツパイは遺伝的には明らかな地理的変異を示し,この変異は頭蓋の形態にまで発現しつつあるが、姉妹種であるかも知れないことを示唆した。 形態学的にはツパイにおける精子の形態形成過程に関与するであろう蛋白の存在を認識できるモノクローン抗体を作成した.ステロイド合成に関与するであろう酵素を認識するモノクローン抗体も作成した.13種の消化管ホルモン産生細胞の存在を2種のツパイで明らかにした.
|