研究分担者 |
DAVE Secor 米国, メリーランド大・環境河口域研究センター, 教授
PETER Castle ニュージーランド, ビクトリア大・生物学部, 助教授
DARNAS Dana インドネシア, ボゴール農科大・水産学部, 教授
稲垣 正 東京大学, 海洋研究所, 教務職員 (00151572)
鹿谷 法一 琉球大学, 理学部, 助手 (20244288)
金子 豊二 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70221190)
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20160525)
小川 和夫 東京大学大学院, 農学生命科学研究科, 助教授 (20092174)
鈴木 譲 東京大学大学院, 農学生命科学研究科, 助教授 (40107412)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
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研究概要 |
本研究の目的は,世界の熱帯から亜寒帯にかけて広く分布するウナギ属魚類の生理的・生態的適応機構と類縁系統関係を明らかにすることにある。さらにこれらの知見に基づいてウナギの起源と進化の過程を解明することである。このため本年度は,フィジ-,インドネシア,タヒチ,ニュージーランド,マダカスカルの計5ヶ国,88日間(計260人・日)の海外学術調査を行った。初年度の本年は,サンプル採集・情報収集の他に,長期的野外調査に耐えうる海外の基地作り,研究体制作りに留意した。以下は本年度の成果と研究経過の概要である。1,適応機構:インドネシア・スラウェシ島北部のポイガル川河口において毎月1回シラスウナギの遡上生態を調査した。Anguilla marmorataの他にA.celebecensis,A.bicolor pacificaが出現した。A.marmorataとA.bicolr pacificaの遡上時期ははっきり分かれており,これら2種が異なる回遊機構を持つことが示唆された。また耳石の日齢査定によるとこれらの接岸時の日齢は温帯に棲むニホンウナギの海洋生態期間と大差なく,共に孵化後約半年間と考えられた。現在耳石のSr/Ca比を計測し,温帯ウナギと熱帯ウナギの回遊履歴の比較を急いでいる。一方組織科学的手法により,鰓の塩類細胞を検出した。従来報告されていた一次鰓弁上の塩類細胞の他に二次鰓弁上にも塩類細胞が認められた。さらに胚期にすでに塩類細胞が卵黄嚢上に発現していることも明らかになった。2,類縁系統関係:従来の形態学的類縁関係の検討を進めると共に,来年度の調査により採集した計12種についてmtDNAのチトクロームb12S,16S遺伝子の塩基配列を決定し,分子系統樹を得た。現在形態と分子より得られた2つの系統関係を比較検討している。ウナギの回遊に伴う寄生虫の共進化過程を明らかにする目的で,インドネシア・スラウェシ島より得たA.bicolor pacificaとA.marmorataの鰓に寄生する単生虫の形態と塩分耐性について検討を進めている。
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