研究分担者 |
鹿谷 法一 琉球大学, 理学部, 助手 (20244288)
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20160525)
小川 和夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (20092174)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
金子 豊二 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70221190)
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研究概要 |
本研究2年目にあたる本年度はニューカレドニア,インドネシア,スロバキア,ノルウェー,英国,オーストラリアの計6ケ国,95日間(計160人・日)の海外学術調査を行った。その結果,次の成果が得られた。 1.適応機構:昨年よりインドネシア・スラウェシ島北部のポイル川河口において実施してきた毎月1回のシラスウナギの遡上生態調査を前年に引き続き実施した.昨年同様Anguilla marmorata.の他にA. celebecensisとA. bicolor pacificaが出現し,A. marmorataとA. bicolr pacificaの遡上時期のピークがそれぞれ6月と8月であることがわかった。また各月令毎にシラス遡上量の24時間調査を行った結果,熱帯ウナギは温帯種と異なり,満月の大潮にはほとんど遡上せず,新月時にのみ集中して遡河することが明らかになった。また耳石の微細構造の解析とSr/Ca比の計測から,A. marmorataとA.bicolor pacificaの接岸・遡河日齢は,それぞれ平均146日と167日で,変態には20日〜40日間要することがわかった。さらに早期に変態する個体が早期に接岸することも明らかになった。 2.寄生虫との共進化:オーストラリアのAnguilla reinhardtiiに寄生するPseudodactylogyrusはニホンウナギに寄生する既知の2種とは形態が異なり,新種であることが確認された。これら3種の寄生虫のRNAのITS領域を比較すると,新種は日本の2種と相同性が低く,地理的に隔離されたところでウナギと寄生虫が別々に共進化したことが示唆された。 3.類縁系統関係:本年度の調査で採集された計16種についてmtDNAのチトクロームbと16Sリボゾ-マルRNA遺伝子の塩基配列計2686bpを決定し,ウナギ属魚類の分子系統樹を得た。その結果,アナゴとノコバウナギを外群とした解析において,インドネシア・ボルネオ島にのみ生息するAnguilla bornensisがウナギ属魚類の中で最も古い系統と考えられた。
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