研究分担者 |
青山 潤 東京大学, 海洋研究所, 学振特別研究員
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20160525)
小川 和夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (20092174)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
金子 豊二 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70221190)
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研究概要 |
本研究の最終年度にあたる本年は,インドネシア,マラウイ,モザンビーク,オーストラリアの計4ケ国121日間(延7人・日)の海外調査を行った。その結果,次の成果が得られた。1.適応機構:一昨年度開始したインドネシア・スラウェシ島のポイガル川河口における熱帯ウナギの遡河生態調査を毎月1回実施したところ,Angilla.celebecensis.A.marmorataおよびA.bicolor pacificaの3種が出現した。その出現頻度は,A.celebecensisが最も高く,ついでA.marmorata,A.bicolor pacificaの順であった。A.marmorataとA.celebecensisはほぼ周年接岸し,その遡河盛期は6月であった。A.bicolor pacificaの接岸は1,3,4,10,12月に限られ,5〜9月は全く出現しなかった。一方,南半球の温帯種としてニュージーランドのA.australis schimidtiとA.dieffencachiの耳石日周輪とSt/Ca比を調べ,上記スラウェシ島の熱帯3種と比較したところ,前者はそれぞれ平均204日と248日で変態を開始するのに対し,熱帯種は90〜160日と若齢で変態が起こることが明らかになった。また接岸日齢も温帯種が268日と297日であるのに対し,熱帯種は116〜195と若齢で接岸することが明らかになった。2.寄生虫の共進化:オーストラリアの4地点で採集した計55尾のA.australisとA.reinhardtiから,鰓寄生の単生虫Pseudodactylogyrusの2新種を見出した。ニホンウナギ寄生種とは形態学的および遺伝学的に異なり,オーストラリア固有の寄生虫と思われた。3.類縁系統関係:本年度は,アフリカ東岸に分布するA.nebulosaを採集することに成功した。ウナギ属魚類18種mtDNAの塩基配列約2kbpを決定し分子系統樹を推定したところ,インドネシア・ボルネオ島にのみ分布する熱帯ウナギA.bornensisがウナギ属魚類の祖先種に最も近いと考えられた。
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