研究課題/領域番号 |
08041140
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福代 康夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (10165318)
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研究分担者 |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30143548)
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 助教授 (00104521)
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
松岡 數充 長崎大学, 水産学部, 教授 (00047416)
越智 正 香川大学, 農学部, 教授 (00035990)
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キーワード | 有害プランクトン / 有害赤潮 / 有毒渦鞭毛藻 / 麻痺性貝毒 / 東南アジア / ヴェトナム / フィリピン / マレーシア |
研究概要 |
前年度までの調査で複数種の有毒プランクトンが発生していることが確認されたフィリピンとヴェトナムにおいて、現地の分担研究者と共同で、発生している有毒種の分類同定、貝類毒化と魚介類斃死現象の有無、海底堆積物中のシストの分類同定などを調査した。特にフィリピンでは広い海域で麻痺性貝毒による中毒事件が続発し、年間数名の死者が出ていることを考慮して、従来調査を行っていなかったフィリピン南部域においても共同調査を実施した。 この結果フィリピンでは、麻痺性貝毒種として、従来から知られていたPyrodinium bahamense以外にもGymnodinium catenatum及び未同定のAlexandriumが発生していることが確認された。ただし、後二者の発生時期と発生域は比較的狭い範囲に限られていた。この他、パナイ島で採集した天然試料からDinophysis caudataとD.milesが大量に認められ、化学分析により下痢性貝毒の生産性が確認できた。この発見は熱帯域に発生する下痢性貝毒原因種の世界初の発見であった。 ヴェトナムにおいては、ハイフォン市近郊にあるエビ養殖池の池底から記憶喪失性貝毒の原因であるトウモイ酸を多量に生産する珪藻Nitzschiaの一種を発見した。ただ、この記憶喪失性貝毒は東南アジアでは全く調査がされていないので、今後大規模に調査を進める必要が感じられた。また、沿岸域と陸上養殖池から麻痺性貝毒原因種を含むAlexandriumが4種(A.andersonil,A.insetum,A.minutum,A.tamiyavanichii)見つかり、そのうちのA.minutumは確立した培養株により毒生産能が確認された。また、同種は比較的高濃度のアンモニア態窒素や、極めて幅広い塩分濃度範囲に耐性があり、沿岸域の養殖池で発生するのに利点があると考えられた。
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