研究概要 |
1.オランダにおける植物標本調査:ライデン市の国立植物標本館で調査を行った。タイプ標本、日本の本草学者がシ-ボルトに贈呈した標本類、シダ植物に重点を置いて標本を探索した。 合計1,540葉の植物標本を見つけ出すことができた。それらの保存状態を調べ、シ-ボルトがラベルに書き入れているメモを記録し、カラーの他に白黒で写真撮影を行った。調べたタイプ標本は合計342葉であった。タイプの選定、指定が行われていない種がかなり見られた。それらについては後日にタイプを定める必要がある。日本の本草学者たちはシ-ボルトの植物標本の収集にいろいろと協力しているが、伊藤圭介、水谷助六、大河内存真らの協力の状態をより具体的に把握できた。シダ植物の収集においても日本の本草学者の貢献が大きいことが判った。 シ-ボルトはミカンの果実のようなものを液浸標本にしていることが判明したので、調査を行った。合計168本の標本を探し出すことができた。ソテツ、ツバキ、オモトの果実もあった。シ-ボルトの徹底した収集ぶりを知ることができた。 2.都立大の牧野植物標本館における調査研究:シ-ボルトが晩年まで保持していた未整理標本がロシアのコマロフ植物研究所を経由して現在は牧野植物標本館に保存されている。 日本の本草学者たちが収集し、シ-ボルトに贈ったものが各種含まれている。それらに関連した標本がライデンの国立植物標本館にもある。双方における調査結果を突き合わせることで、シ-ボルトの標本整理、標本の活用状態についての知見を深めることができた。
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