研究課題
調査拠点として、ピサヌロック地方に設立されているナレスアン大学構内に実証試験区を造成し、また現地調査地区として同大学所有の演習林(Khao Kho地区)の2ヵ所を選択した。この調査拠点において農業システムを確立させる目的で、大学構内に実証モデルを造成し実験を行い、現地において傾斜地農業の実情調査を実施した。とくに次の各項目について問題点の抽出にあたった。・土地条件の現況調査:地形条件等をもとにした土地利用状況の調査・水利用の現況調査:降雨量、地下水動向、水利用の現況調査・土壌および土壌水分調査:土壌の理化学的性質、肥沃度等の調査・エネルギー利用:太陽エネルギー(光、熱)利用のための基礎調査・作物の作付等の生産性調査:営農と市場性を中心にした調査以上の検討から、調査地域の降雨強度が強く、また土壌の受食性も大きいことがわかり、土壌・養分流亡等の土壌侵食対策に関する調査を強化する必要性を明らかにした。とくに傾斜地農業では畝立ての検討とその効果などについて検討しなければならない。土地条件および土壌の現況調査については、調査地域(ピサヌロック地方)全域の踏査にあたり、関係機関の資料との照合を行った。水利用の現況調査では、集水域の確定を行った。年間の水収支については平成9年度に解析を行う予定である。太陽エネルギー利用については、ソーラーパネルの特性とそれに接続した直流ポンプの特性を分析し、潅漑排水への応用を検討した。また熱利用についても作物の乾燥および蒸留水製造システムの検討を行った。作物の作付等の生産性調査については、生産計画が不確定であったので、平成9年度も引き続き調査を継続することとなった。