研究分担者 |
ALPERS M. パプアニューギニア国立医学研究所, 所長
兜 真徳 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 上席研究官 (00113481)
中澤 港 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40251227)
河辺 俊雄 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (80169763)
稲岡 司 熊本大学, 医学部, 講師 (60176386)
ALPERS Michael Papua New Guinea Institute of Medical Research, Director
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研究概要 |
ギデラ族(13村落,人口約2,000人)について,(1)1997年までの約30年間にわたる詳細な人口動態(出生・死亡)と人口移動,(2)平成8年度までの全成人女性の再生産史,(3)平成8年度に5村落で採取した尿サンプルの分析による性ホルモン(エストラジオール,プロジェステロン,絨毛性ゴナドトロピン)レベル,(4)平成9年度における2週間の食物摂取調査による栄養状態,を把握することができた。データの量が多いため,まだ分析の途中ではあるが,現時点で得られた知見の概要は以下の通りである。48人の閉経後女性における平均完結パリティは3.6人であったが,分布を見ると他の多くの途上国住民とは異なり,0にピークがあるのが特徴的であった。このことが性ホルモンレベルなど遺伝的・生理的な要因によるのか,あるいは性病などの外因によるのかを明らかにするために尿中ホルモンを分析したところ,完結パリティが0の女性に特徴的な性ホルモン状態はとくになかった。また絨毛性ゴナドトロピンにより検出された妊娠は,すべて生産に帰結しており,初期胎児死亡が高いということもなかった。しかし,閉経後のホルモン状態は,再生産年齢における状態とは変化しているため,年齢も加味した,より詳細な分析が必要である。 アサロ地域(約10集落,人口約2,000人)においては,(1)成人313名の生体計測と血圧測定,(2)平成8年度に5集落で登録した「妊娠可能年齢にある」女性の追跡調査による,この1年間で起こった妊娠・出産/流産/死産の聞き取り,(3)これらの集落の人々のタンパク質と食塩摂取状況を評価するために,早朝尿を採集後,濾紙に吸着し,日本に持ち帰り,尿素窒素,ナトリウム等の濃度を測定,(4)子どもの健康行動と栄養状態の関連を明らかにするため,1つの集落ですべての子どもを対象とした2週間の行動観察(摂取食物・健康状態),(5)生産と消費に関する聞き取りと行動観察,を行うことができた。その結果,平均BMlが男性23.7,女性24.2と全体に肥満傾向にあり,それが近代化と関連している可能性が示唆された。
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