中南米におけるリーシュマニア症とその伝播に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08041177
• 研究機関: 高知医科大学
• 研究代表者: 橋口 義久 高知医科大学, 医学部, 教授 (10037385)
• 研究分担者: 丸野 元美 琉球大学, 医学部, 助手 (00264507) ; 三森 龍之 熊本大学, 医学部, 助教授 (00117384) ; 細川 篤 琉球大学, 医学部, 講師 (10181497) ; 古谷 正人 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00035437) ; 野中 薫雄 琉球大学, 医学部, 教授 (10039571)
• キーワード: エクアドル共和国 / 皮膚リーシュマニア症 / メファキン / アルテスネト / 治療 / 経口剤 / 皮膚生検 / 患者

研究概要

本研究では、従来実施してきたリーシュマニア症に関する疫学的、臨床的研究を更に充実させるため、種々の調査や実験を継続した。また、エクアドル国のリーシュマニア症患者の診断や治療についても検討や改良を加え、多くの成果を得ることができた。
その中で、以下の項目は特筆に値する。
1.各流行地の患者、媒介者(サシチョウバエ)、保虫宿主(動物)から分離したLeishmania原虫100余株をkaryotypeやELISAを用いて分析し、それらの地理的分布を明らかにした。
2.Leishmania原虫に対し、Arbitrarily-primed(AP)-PCR法で検出した特異的DNAバンドの塩基配列を決定し、各種原虫株の種に特異的なpolymorphismを検索した。
3.リーシュマニア症患者の皮膚潰瘍部のホルマリン固定生検材料からの原虫の検出と種の同定に成功し、本法のフィールド応用が可能となった。
4.PCR法と従来から実施されている塗沫標本、培養、その他の診断法との比較を試み、PCR法がsensitivity やspecificity の面でも勝れていることを明らかにした。
5.Leishmania 原虫やサシチョウバエのDNA sequencing を試み、それらの分類や疫学的研究への応用をけんとうした。
6.Leishmania 原虫抗原に特異的にアネルギーな患者の病原虫や患者由来の生検材料を用いて、動物実験や電顕病理学的検討を加え、興味ある知見を得た。
7.抗マラリア剤のMephaquinやArtesunate の経口投与、あるいはArtesunateの軟膏が皮膚リーシュマニアマニア症の治療に有効であることを確認した。

研究成果

• [文献書誌] 細川 篤 他: "エクアドル共和国に於けるハンセン病の接触者検診と血清疫学調査の試み" 沖縄医学会雑誌. 36. 91-95 (1997)
• [文献書誌] 橋口 義久: "リーシュマニア症(カラ・アザ-ル病)について" JOMF. 48. 1-4 (1997)
• [文献書誌] 橋口 義久: "内蔵リーシュマニア症(カラ・アザ-ル病)とHIV感染-ADIS日和見感染としてのリーシュマニア症-" 医学のあゆみ. 184(印刷中).
• [文献書誌] 橋口 義久: "中南米におけるリーシュマニア症とその伝播に関する研究" 月刊サイエンス. (印刷中).
• [文献書誌] Hashiguchi, Y.(ed.): "Estudios sobre la Leishmaniasis en el Nuevo Mundo y su Transmision con Especial Referencia al Ecuador. No.3" Kyowa Printing Co.Ltd.Kochi,Japan, 175 (1997)
• [文献書誌] Hashiguchi, Y.(ed.): "Studies on New World leishmaniasis and its transmission with particular reference to Ecuador No 5" Kyowa Printing Co.Ltd.Kochi,Japan, 207 (1997)
• [文献書誌] 橋口 義久: "エッセンシャル寄生虫病学 リーシュマニア症" 医歯薬出版(印刷中), (1998)
• [文献書誌] 橋口 義久: "リーシュマニア類による消化器疾患,消化器における感染症・寄生虫症" 新興医学出版(印刷中), (1998)