研究課題
国内の研究者4名が39日間、1名が46日間ネパール王国を訪れ、現地の共同研究者2名を加えて、高血圧の発症要因に関する総合的な調査研究と10年後の追跡調査を実施した。調査地は、1)首都カトマンズの北東約30kmに位置する丘陵地で自給自足的な生活を営むKotyang村、2)カトマンズの中心地から約5kmの都市近郊農村であった。この2つの村は、ネパールを代表する典型的な村として、1987年に調査研究を実施した農村であった。初回調査から10年経過した現在、Bhadrakali村は住宅地として人気が高く、人口も増え、住民の生活環境や生活形態が大きく変化していた。一方Kotyang村では、農作物の変化や生活水準の向上が見られたが、依然として電気水道もなく、生活環境や生活形態に著しい変化が認められなかった。これらの調査地で、1987年と同様な調査方法を用いて、医学・栄養学・形態学・体力学・文化人類学などの面から総合的な調査研究を実施した。調査人数はKotyang村の431名(男性:224名、女性:207名)、Bhadrakali村の594名(男性:282名、女性:312名)であった。10年後の調査研究が実施できたのは、Kotyang村が156名、Bhadrakali村は101名であった。追跡調査できた人の割合が比較的少ないのは、10年前の50・60歳代以上ですでに死亡している者が多いこと、10年前は20才以上を対象としたため当時の20才が現在30才となっていること、またBhadrakali村では人口の流出入が多かったことなどが主要原因であった。調査対象者のうち境界域高血圧を含む高血圧者は、Kotyang村が21名(男性:9名、女性:12名)、Bhadrakali村が55名(男性:32名、女性:23名)であった。Kotyang村では10年前と同様に高血圧者が極めて少なく、Bhadrakali村は高血圧の出現頻度が比較的多かったが、10年前に比べて明らかな変化は見られなかった。現在、医学・栄養学・形態学・体力学・文化人類学的調査のデータを大型計算機に入力し、それらの統合化を行い、地域毎のそれらのデータの分析、10年前の調査結果との比較などの分析を行っている。
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