研究課題/領域番号 |
08041179
|
研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
茂木 幹義 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (00039538)
|
研究分担者 |
砂原 俊彦 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50264156)
岩佐 光啓 帯広畜産大学, 畜産環境学, 助教授 (00168551)
当間 孝子 琉球大学, 医学部, 助手 (10145526)
倉橋 弘 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (00100074)
宮城 一郎 琉球大学, 医学部, 教授 (50039921)
|
キーワード | 水田開発 / 森林伐採 / 移民村 / 原住民村 / 衛生昆虫 / 蚊 / ハエ / インドネシア |
研究概要 |
水田開発に伴う衛生動物、特に疾病媒介昆虫の変遷過程変遷要因を解明するため、2つの作業仮説を設定し、その当否を検討する調査を計画、実施した。仮説1:開発初期の過渡的生態系で媒介動物の大発生がおこりやすい条件が生じる。仮説2:水田開発は農村の生活水準を向上させ媒介動物に接触する機会を減らす。2年目である平成9年度は平成8年度から始めた移民を伴う水田開発地での継続調査に加えて、開発の影響をより明瞭に理解するため、隔離された原住民の村落での衛生動物の調査も実施し比較のための資料を収集した。 明らかになった主な点は下記の通りである。(1)水田造成のため平成8年度に森林が伐採された場所では当初の計画通り水田は造成されず大部分が放置され、蚊の発生に適した水域が形成されていた。(2)新たに造成された水田では捕食性昆虫が高密度で発生し蚊の発生を抑制していたが、捕食性天敵のいない一部の水田ではハマダラカの密度が著しく高かった。(3)原住民の村では人家周辺に蚊の発生源となる容器はなく、移民が入植したばかりの村でも少なかったが、入植後の年数が多い村では容器が多かった。(4)オビキンバエ類の種数は原生林で最も多く、原住民の村でも原生林と同じ種が採集されたが、便所の整備がされていない一部の新移民村、古い移民村や都市では少数の侵入種が著しい高密度で発生していた。(5)イエバエ類は原生林では全く採集されず、入植後長い年数が経過した村ほど多くなった。(6)ツヤホソバエの種は原生林と移民村で全く異なり、移民村の種は全て家畜の導入に伴って侵入した種であった。 以上の結果から、仮説は部分的には正しいと思われたが、予想しなかった事実も明らかになった。継続調査により今後の経過を知る必要がある。
|