研究課題
南太平洋諸国の疾病概念、病因認識構造、伝統薬用植物資源並びにその臨床的効果を民俗薬学的に調査研究することに本研究の目的がある。本年は研究の初年度であることから、調査を南太平洋に中心的位置を占めるフィージ-諸島で行った。1.フィージ-主島での聞き取り調査疾病概念、疾病の認識構造を調査するため、疾病、病態の呼称などの調査を行った。また同時に、その疾病の治療に用いられる伝統薬物の調査も同時に行った。主な調査は、フィージ-主島の東部地区の集落で行った。その理由は部落住民と薬用植物が共存して集落を構成していることにある。共存とは部落には食物としての根菜類、果樹、薬用としての植物、及び儀式用の植物以外は雑草に及ぶまで植えられていないことに基づく。このように人間と薬が共存している例は世界的に見て極めて稀であり、人間にとって薬とは何かを考える上に貴重な資料を提供するものと思われる。2.ササンギル(Sasaqilu)の化学成分と薬効の検索上記の部落の薬用植物の中で、特に注目される植物、現地名ササンギルPseuderanthemum laxifolium (A.Gray) Hubbardを取り上げ、化学成分の探索並びにその生理作用について検討した結果2種のクマリン誘導体を分離しその構造を証明すると同時に、それらの生理作用について検索した。3.トトドゥロ(Totodro)の化学成分と薬効の検索現地名トトドゥロGentella asiatica Urbanはインドを含む他の東アジア諸国と同様、最も広範囲の病気に用いられる薬用植物であるが、その化学成分と生理作用の関係について研究した。
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