研究課題/領域番号 |
08042002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 泰秀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30238133)
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研究分担者 |
LOOK Thomas 聖ユダ小児研究病院, 実験腫瘍, 教授
BRODEUR Garr フィラデルフィア小児病院, 教授
中川原 章 千葉県がんセンター研究所, 生化学, 部長
小林 美由紀 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60205391)
別所 文雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40010285)
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キーワード | 神経芽腫 / p16遺伝子 / p15遺伝子 / DCC遺伝子 / DPC4遺伝子 / MADR2遺伝子 / 疫抑制遺伝子 / 疫学 |
研究概要 |
本邦、米国とマレーシアの神経芽腫の細胞株と新鮮腫瘍をN-myc遺伝子、P16/MTS1遺伝子とp15/MTS2遺伝子,DCC遺伝子、DPC4遺伝子、MADR2遺伝子、p73遺伝子を検索し、さらに一部疫学的調査も加え比較検討した。本邦の腫瘍のヘテロ接合体の消失(LOH)の検討では、9pではD9S162とIFNAの間に高頻度のLOHがみられ、この領域にp16遺伝子が存在するため、本邦の81例(うちN-myc遺伝子増幅10例)と米国の46例(うちN-myc遺伝子増幅18例)とマレーシアの10例(うちN-myc遺伝子増幅6例)でSouthern法を行ったが、homozygous deletion(HD)はみられなかた。PCR-SSCP法による変異の検討では、missense mutationのみでった。p16遺伝子の発現の検討では、本邦で樹立した10株中6株、米国で樹立した9株中6株で発現の消失がみられ、両者に有意差はみられなかった。Methylationの検討では、本邦の6株中3株と米国で樹立した6株中2株にmethylationがみられ、NBでのp16遺伝子発現の消失にmethylationの機構が重要な役割りを果たしていることが推測されたが、両者に有意差はみられなかた。18qでは、原因遺伝子の候補であるDCC遺伝子のRT-PCR法による発現の検討を行ったところ、三国の検体で約半数に発現の消失や衰弱がみられた。PCR-SSCP法による変異の検討では、missense変異をみいだしたが、nonsense mutationはみられなかった。DPC4とMADR2遺伝子の発現異常の頻度は低く、発症、進展への関与は少ないものと思われた。疫学調査では本邦の埼玉県と全国統計の検討で、神経芽腫はマススクリーニング後には約2倍に増加しているが、1才以上の進展例は減少していないことを明らかにし、米国とカナダの共同研究の結果もよく似た結果であることが判明した。
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