中国の唾液腺癌におけるエプスタイン・バーウィルス感染に関する病理学的研究

1996 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 08042003
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: がん調査
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
• 研究分担者: 劉 愛如 上海第二医科大学, 口腔医学院, 教授 ; 徳永 正義 鹿児島市立病院, 病理検査研究室, 部長 ; 程 くん 新潟大学, 歯学部, 助手 (40207460) ; 李 映芳 昆明医学院, 口腔医学系, 教授 ; 楊 連甲 第四軍医大学, 口腔医学院, 教授 ; 周 志瑜 華西医科大学, 口腔医学院, 教授 ; 張 偉国 上海第二医科大学, 口腔医学院, 助教授 ; 汪 説之 湖北医科大学, 口腔医学院, 教授 ; LI Yingfang Kunming Medicla College ; Professor ; YANG Lianjia Fourth Military Medical Unversity ; Professor ; ZHOU Zhiyu West China University of Medical Sciences ; Professor ; WANG Shouzhi Hubei Medical University ; Professor
• 研究期間 (年度): 1996
• キーワード: EBウィルス(EBV) / 唾液腺 / リンパ上皮腫 / 免疫組織化学 / in-situハイブリダイゼーション / EBER-1 / ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) / 中国

研究概要

平成6年度の上海、成都、昆明、広州、平成7年度の長春、西安、北京、武漢での調査に引き続き、平成8年度は、台北市、台中市、成都市、烏魯木斉市、済南市をそれぞれ訪問し、EBウィルス(EBV)関連唾液腺リンパ上皮腫症例を各地の研究分担者および協力者と共同で病理組織学的な評価をおこなったうえで抽出した。唾液腺リンパ上皮腫症例の累計は、平成6年度よりの調査以来、合計159例となった。広州、上海、成都の多発地域での発生率は北京、西安の4-10倍であった。したがって、本癌腫の発生には地域的な要因があることがしめされた。男女比は1:1、平均年齢は43歳、最年少は9歳で、39歳以下が35%をしめ、若年発生が特徴的であった。臓器部位では、耳下腺が70%でもっとも多くしめたが、顎下腺11%に対比しても小唾液腺14%の発生は高率で、とくに口蓋10%が注目された。リンパ上皮腫は大胞巣型と小胞巣型に大別された。前者は小唾液腺に多発する傾向があり、後者は耳下腺に多発し間質の線維化が亢進してリンパ球反応が低下する傾向をしめした。癌細胞は上皮膜抗原、DF-3抗体、およびUEA-I結合免疫陽性をしめし、唾液腺導管様性格が確認された。浸潤リンパ球はT細胞優勢が確認された。in-situハイブリダイゼーションによって検索したリンパ上皮腫症例のほぼ全例で癌細胞はEBER-1陽性で、PCR法によってもEBVのDNA断片が増幅されることを確認した。対照とした良性リンパ上皮性病変およびそのほかの唾液腺腫瘍では陽性シグナルはえられず、唾液腺ではリンパ上皮腫におけるEBV感染はきわめて特異的でこの癌腫の発生にEBV感染が重要な関与をしていることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] 朔 敬: "EBV関連唾液腺癌"新潟歯学会雑誌. 27. 73 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Wu, L. et al: "Malingnant lympho-epithelial lesion of the salivary glands"West China Journal of Stomatology. 14. 13-16 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 朔 敬 他: "唾液腺リンパ上皮腫におけるEBウィルス感染"日本病理学会会誌. 85. 149 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Saku, T. et al: "Epstein-Barr virus infection in salivary lymphoepitheliomas in China"Journal of Oral Pathology & Medicine. 25. 270 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Saku T: "Epstein-Barr virus-related carcinomas of salivary gland origin"Niigata Dental Journal. 27. 73 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Wu L, Zhou Z, Lu Y, Cheng J, Saku T: "Malignant lymphoepitheliomas of the salivary glnads"West China Journal of Stomatology. 14. 13-15 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Saku T, Cheng J, Tokunaga M: "EB virus infection among Chinese salivary lymphorpitheliomas"Transactiones Societatis Pathological Japonicae. 85. 149 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Saku T, Cheng J, Tokunaga M, et al.: "Epstein-Barr virus infection in salivary lymphoepitheliomas in China"Journal of Oral Pathology & Medicine. 25. 270 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より