研究課題/領域番号 |
08042006
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
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研究分担者 |
藤 也寸志 九州大学, 医学部, 助手 (20217459)
桑野 博行 九州大学, 医学部, 講師 (90186560)
RU Gang Zhan 中華人民共和国癌研究所, 教授
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キーワード | HPV感染 / 食道癌 / PCR法 / p53 / HLA-DR / dysplasia / DNA修復 / microsatellite instability |
研究概要 |
【研究経過】 1)当科における食道癌生検標本45例において、HPV感染をPCR法にて検索したところ、45例中3例(6.7%)においてHPVが検出された。一部の食道癌では、HPV感染が癌の発生に関与していることが示唆された。 2)当科における食道癌切除標本において、同一症例内に癌部と異型上皮部(dysplasia)の両方を有する19例を対象としてp53免疫染色を行ったところ、癌部と異型上皮部(dysplasia)とではほぼ同様の染色性が認められ、異型上皮部(dysplasia)の前癌病変としての意義が確認された。 3)当科の食道癌切除標本において、HLA-DR抗原の発現率を免疫組織学的に検索したところ、正常粘膜部に比べ異型上皮部(dysplasia)、上皮内癌、浸潤部ではその発現率が高かった。異型上皮部(dysplasia)では癌と類似の遺伝子発現の異常が生じていることが示唆された。 4)Ru Gang Zhang博士の協力により中国北部地方における食道癌組織の収集を現在行っているところであり、癌部、非癌部組織の蓄積中である。 【今後の展望】 1)p53の変異をさらに分子生物学的手法(PCR-SSCPと塩基配列決定)により検索し、HPV感染との関係についても比較検討する。 2)DNA修復能の異常をmicrosatellite instabilityをみることで検討する。 3)以上と同様の解析を中国北部地方の標本においても行い、本邦における結果と比較検討する。中国北部地方からの標本を100例、本邦の標本を100例、計200例での検討を目標とする。
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