研究課題/領域番号 |
08042006
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
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研究分担者 |
森田 勝 九州大学, 医学部, 助手 (30294937)
北村 薫 九州大学, 医学部, 助手 (70234276)
桑野 博行 九州大学, 医学部, 助教授 (90186560)
ZHANG Ru Gan 中華人民共和国, 癌研究所, 教授
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キーワード | 食道癌 / 前癌病変 / p53 / HPV感染 / HLA-DR / microsatellite instability (MSI) / 細胞周期関連遺伝子 / TGF-β |
研究概要 |
【研究実績】 1.当科における食道癌切除標本において以下の検索を行った。 (1)当科で開発した蛍光primerを用いた解析系でmicrosatellite instability(MSI)を検索したところ、44症例中MSIが認められたものは6例(13.6%)であり、食道孤発癌とMSIの関連は高くなかった。 (2)TGF-βの発現を免疫組織学的検索を用いて行ったところ、正常上皮と比較し、異型上皮および上皮内癌では発現が低く、粘膜癌および粘膜下癌では有意に高発現していた。(p<0.01)。以上より、異型上皮は上皮内癌と極めて相同性を有する病変であり、さらにTGF-βの減弱は、初期発育に関与し、逆に基底膜を越えてからの発育に関しては、TGF-βの発現は促進的に関与すると考えられた。 中国Ru Cang Zhang博士の研究室と食道癌組織保存の方法を確立し、食道癌症例の癌部および非癌部を151個ずつ入手した。現在、DNAを抽出するとともに、パラフィン包埋ブロックを作成中である。 【今後の展望】 1.中国から得られた151検体から以上と同様の解析、さらには平成8年度に教室の検体を用いて行った実験(食道癌におけるHPV感染の関与をPCR法を用いて検索、異型上皮の前癌病変としての意義をp53、HLA-DRに関して免疫染色を行い検討した実験)を行い、本邦の結果と比較検討する。 2.食道癌化の機構をさらに追求するため、細胞周期関連遺伝子(cyclin Dl etc.)、浸潤転移に関与するといわれるマトリクスメタロプロテネース、それらを上流で制御するETS-1に関しても検討を行う。
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