研究課題/領域番号 |
08042006
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
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研究分担者 |
森田 勝 九州大学, 医学部, 助手 (30294937)
北村 薫 九州大学, 医学部, 助手 (70234276)
桑野 博行 九州大学, 医学部, 助教授 (90186560)
RU Gang Zhan 中華人民共和国癌研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 食道癌 / 前癌病変 / p53 / Human Papillomavirus / HLA-DR / 喫煙 / 飲酒 / 家族歴 |
研究概要 |
近年の分子生物学の進歩により、食道発癌とさまざまな遺伝子異常との関連、さらにヒトパピローマウィルス(HPV)感染との関連が報告されてきたが、未だ一定の見解を得るには至っていない。本研究の目的は、食道癌発生のハイリスク地域である中国北部地方と本邦の食道癌発生様式を比較検討し、食道発癌の分子機構を解明することである。 対象は中国Linxian地方の術前無治療食道癌切除症例151例と、本邦の術前無治療食道癌切除症例151例である。HPV感染をPCR法により検出したところ、食道癌ハイリスク症例を除いた場合、日本4.3%(1/23)に対し中国では22.2%(28/126)と明らかに感染率が高く(p<0.05)、少なくとも一部の中国の食道癌発生には、HPVが関与していることが示唆された。生活歴に関しては、日本では飲酒指数(合/日×年)100以上の大酒家が31.8%、喫煙指数(本/日×年)1000以上の多喫煙家が30.0%であるのに対して、中国ではそれぞれ7.9%、5.3%でありいずれも日本が多かった(p<0.0001)。また、日本では大酒家(p<0.01)、多喫煙者(p<0.01)でp53異常を高率に認め、さらに大酒家でかつ多喫煙家では94.1%(16/17)と非常に高率にp53異常を認めた(p<0.01)。よって、日本では、飲酒、喫煙によるp53異常が、食道癌発生の重要なひとつの経路である可能性が示唆された。 本研究では、人種、環境の異なる2つの地域での食道癌にみられる異常を比較しており、食道癌発生における内的因子・外的因子の解明が期待できる。今後、中国の食道癌発癌の特徴を浮き彫りにすることにより、相手国へもさらに貢献できればと考えている。
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