研究課題/領域番号 |
08044001
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小出 達夫 北海道大学, 教育学部, 教授 (70001823)
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研究分担者 |
町井 輝久 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター・生涯学習計画研究部, 教授 (60091500)
横井 敏郎 北海道大学, 教育学部, 助手 (40250401)
青木 紀 北海道大学, 教育学部, 助教授 (80125484)
木村 保茂 北海道大学, 教育学部, 教授 (40003959)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 高等学校 / 教育改革 / 平等性 / 公共性 / 責任性 / 比較教育 / 職業教育 / スクール・トウ・ワーク |
研究概要 |
(1)結論的にいえば、高校教育の改革原理としての差異性、平等性、公共性、責任性の原理は、日本のみならず韓国、アメリカの高校改革をリ-ドする今日的原理であることが明らかになった。 (2)とくにアメリカにおいてこの原理は全面的に現れている。それも1990年代の改革において顕著である。わけてもスクール・トウ・ワークに集約されている高校改革においてそうである。 (3)このアメリカの改革は、高校レベルでの人格発達の差異を大学進学か就職かに分けるのではなく、将来の職業の差異による自己規定を高校で図り、そのための基礎的普通教育と本格的な職業準備教育を“すべて"の生徒に保障し、それと高卒後の継続教育との連携・連続を制度的に保障することを意図した改革である。 (4)ここで注目すべきは、生徒の自己規定の差異を重視することが逆に平等を重視することにつながっている点である。さらに差異と平等を重視し実現するために、学校の社会的ネットワークが拡大され、生徒の人格発達に責任を負う分担者の範囲が学校内外に拡大している。こうした変化は、学校教育の公共性と責任性が従来より深化してことを示す標識である。 (5)韓国の高校改革で注目したのは平準化政策の見直しである。“教育の自由化"を根拠とする見直しは過去20数年来の平準化政策を変え、平等原理の後退を不可避とするというのが仮説であった。しかし事態の経過をみると平等原理はかなり維持されている。高校間の成績による輪切り現象は少ない。日本とは違った進展を見せ、平準化政策支持の世論が強い。専門高校の改革も日本と異なり、ドイツ、アメリカ的な改革を見せている。そこには差異性、平等性、責任性原理がかなり顕著だ。しかし学校の公共的な空間は狭い。 (6)総じてこれら4つの原理を指標としてみた場合、日韓米の高校改革には違いはあるが、いずれの高校改革においてもこの4原理は現象しており、とくにアメリカにおいてこの傾向が強い点を明らかにしえた意義は大きいと考える。
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