研究課題
スエ-デンとの国際学術研究(共同研究)の初年度にあたる本年度は、二度にわたる両国研究者の研究打ち合わせをおこない、次の三つの方向から共同研究を行うことにほぼ同意した。(1)西北科学考査団の足跡と成果(2)中央アジア出土資料の研究(スエン・ヘディン収集品を中心として)(3)桜蘭・ニヤの歴史・民族・言語・考古的研究この内、(1)については、主として考査団の一員で歴史考古を担当し、漢簡発見の功績者F・BERGMANに焦点をあてることにした。幸い彼の調査記録が残存しており、また遺族も存命で、スエ-デン側研究分担者の提案で遺族と会見をおこない、資料収集をすすめることを予定している。また、96年夏にスエ-デン民族博物館に調査に赴いたおり、BERGMANら団員が撮影した考察団の足跡をしめす、膨大な量の写真がみつかった。(1)の研究における貴重な写真資料であり、今後、これを図像データベースとして整理できる方向を検討している。(2)の出土資料に関する研究は、96年夏にスエ-デン国立民族学博物館に赴き、桜蘭出土の紙写本の調査をはじめ、これは97年度も引き続きおこなう。なお、96年の段階で、未発表の写本も数点確認し、その保存方法もふくめて、民族学博物館と検討中である。簡牘については、カロシティー木簡について、インド国立博物館における調査をおこなった。初期の計画ではインドでの調査は予定されていなかったが、97年1月にスエ-デン側分担者が来日した折り、インドニューデリーの国立博物館所蔵のスタイン将来品のなかのカロシティー木簡の情報と、その調査が可能であることを知らされ、研究計画変更の許可を得て、実物の調査をおこなった。全体の3分の1の簡の調査と撮影を終えたが、残りについては次年度に継続して行わねばならない。(3)は、いわば(1)(2)に基づいた総合的研究であり、本共同研究が最終的に目指すところである。本年度はまず、各人の専門とする分野と役割を協議し、次年度から具体的に進める予定でいる。予定としては、夏に日本側研究分担者だけで研究発表をおこない、冬にスエ-デン研究分担者が来日し、研究会を行うとともに、シンポジウムを開催したいと考えている。
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