研究課題
国際学術研究
当該研究の研究実績は、有機的連関性をもつ3つの分野に分かれる。1は、20世紀初頭にスウェン・ヘディンを団長として組織された西北科学考査団の歴史であり、いわば探険史編である。これは、Hakan Wahlquistが主としてまとめた。2は、資料編ともいうべきもので、楼蘭出土木簡の形態学研究、カロシティー文書全文の和訳(これはスウェーデン所蔵のものだけでなく、インド、イギリス所蔵のものも当然含まれる。)民族学博物館所蔵のサカ偽文書の研究、民族学博物館所蔵未公開楼蘭出土紙文書の研究、以上の4研究であり、籾山・赤松・Rosen・冨谷がそれぞれ担当している。3は、中央アジアの歴史・言語・文字にかんする論考であり、上記の2分野の成果を基礎に共同研究者全員が何らかの形でかかわる。とくに、これまで通説となっていた所謂楼蘭遺址(LA遺跡)が、3世紀の楼蘭王国の首都であったとする説に疑義をはさみ、3世紀から5世紀のクロライナの歴史をインドと中国の文化交流という視点から再考した点、書写材料の移行期という視点から、どのような形で公文書が木から紙へ移ったのかを詳細に論じた点、などがこれまでの研究には見られなかった特徴である。以上の、より完成された研究の報告は、文部省に提出する「研究成果報告書」のほかに、『流沙出土の文字資料』と題して別に出版する。これは日本語版であるが、それとともに、国際学術研究の成果として、それを広く世界に提供すべく、英語版の刊行も予定している。
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