研究課題/領域番号 |
08044006
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
実験系心理学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
|
研究分担者 |
上野 吉一 北海道大学, 実験生物センター, 助手 (40261359)
板倉 昭二 大分県立看護科学大学, 助教授 (50211735)
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (90179630)
田中 正之 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80280775)
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70237139)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
キーワード | チンパンジー / 知性 / 比較認知科学 / 認知機能 / 道具使用 |
研究概要 |
ヒト以外の霊長類とヒトの認知機能を比較することによって、ヒトの認識や行動の系統発生的基盤の解明をめざした。過去2年度に引き続き、竹下は、オランダのアーネムのチンンパンジーとベルギーのプランケンドールのボノボを対象にして、ヒトに最も近縁なチンパンジー属2種の行動発達の比較研究をおこなった。物の操作のしかたにおいて、道具使用の前提としての定位的操作がチンパンジーで顕著なこと、一方ボノボでは両手を使った操作が豊富なこと、また両者ともヒトで顕著な階層的に複雑な操作が乏しいことなどを、実験的・定量的に示した。上野は、系統発生的には霊長類の共通祖先ときわめて近い姿をしていると考えられる原猿類についての予察をかねて、原猿類が豊富に生息するマダガスカルに出張し、国際霊長類学会で研究発表をおこなった。ビザルベルギは、チンパンジーの指差し表出について実験的な研究をおこなった。 チンパンジーは、対面する人の指差しを理解するが、指差しによってほしいものを指示することもできる。左右の違いを指示するだけではない。同じ方向だが奥行きの違いとして前後に配置されたものも、指差しで示し分ける。すなわち、奥行き方向で遠くに位置するものに対しては、指差す手の位置が高くなることを実験的に示した。ファゴーは、これまでの研究を継続して、視覚情報処理における大域処理と局所処理の問題を中心に、コンピュータで制御されたタッチパネルを使った場面で、実験的な解析をおこなった。プレマックは、日本心理学会における比較認知のシンポジウムなどで講演し、ヒトのあかんぼうが、社会的認知にかんして生まれながらにして備えている特性について、独自の理論と実験的検証を紹介した。ファン・ホーフとグドールは、SAGAシンポジウムにおいて、アーネムとゴンベでの長期継続研究の成果をもとに、チンパンジー集団が示す社会的知性の多様な側面を紹介した。
|