研究概要 |
●本研究は、インド諸宗教の根本課題である霊魂の浄化・解脱という観念に関し、ヒンドゥー教(高島担当)、ジャイナ教(カヤ担当)、仏教(中谷担当)という主要3宗教における歴史的発展と相互影響を跡付けつつ、これを明らかにし、その今日的意味を究明することを目的として、各分担者は以下のような分析成果をあげた。 ●ジャイナ教における汚れの観念の中核を成すkarman(業)と浄化の観念の発展を最古層の文献にさかのぼりつつ分析し、その観念における物質性の優位と、それに対応する解脱の手法の中にジャイナ教の独自性を歴史的に位置づけた。 ●シヴァ教の最古層の聖典における汚れの観念が、mala(根源的な物質的汚れ)とkarman(業)の二重の作用によっており、初期におけるkarman中心的な観念から独自の物質的汚れとしてのmalaの概念の明確化へと発展していく過程を写本でしか存在していない註釈文献等の分析によって明らかにした。 ●最古層原始仏教聖典におけるtrsna(渇望)、asava(漏)などの汚れの観念、再生・輪廻・寂静・奈落等の観念、修行者の観念などの発展を韻律に基づくテキストの層位分析の手法によって明らかにした。 ●仏教,ジャイナ教,ヒンドゥー教において霊魂に付着する不浄物はそれぞれ異なって表現されるが、これらの概念が共通の源泉から発達し,変遷を見たものであることを共同研究によって跡づけた。
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