研究課題
(1)フリア-・サックラ-美術館所蔵のカンボジア陶磁器の実測図の作成をおこない、その考古学的なをおこなった。特に、カンボジア地域のアンコール時代のクメール陶器を焼成した、ルンタック・タニ村所在の窯跡から出土した陶器資料を収集し、その分析的調査と、フリア-美術館所蔵の資料との考古学的比較検討を継続的に進めている。両者試料の化学分析を開始した。(2)ベトナムで採取した陶磁器については、考古学的な考察、そして一部の試料については中性子放射化分析をおこなった。同法は、従前から継続して実施してきている手法であり、各種の報告例とも比較。(3)朝妻窯(福岡県久留米市)、吉田屋窯・宮本屋窯・九谷本窯・ほか(石川県加賀市)、元屋敷窯・清安寺窯・定林辛酉洞窯(岐阜県土岐市)出土の陶磁器試料の化学分析をおこなった。分析手法は、蛍光X線分析による胎土のRbとSrの定量的測定、釉薬の、染め付けに注目した透明釉(灰釉)部分と顔料部分を分析した。灰釉部分はCaとKの分析、顔料部分はCoとMnの測定を中心とした。山代の諸窯では、同じ位置に所在しても3度にわたって技術集団が交替したという記録があり、それらは、Rb、Srの組成比の分布範囲が異なることを明確にした。釉薬部分の分析では、焼成窯によってその組成比が異なり、山伏窯では陶器と磁器によって胎土を使い分けていたことが判明した。また、CaとAlの組成比は灰釉でも美濃諸窯と山代の諸窯とでは大きな違いがあることにがわかった。また、今回分析に用いた各種試料のCoとMnの混合比は窯ごとに異なり、それぞれ固有の数値をもたらすことがわかった。(4)引き続き文献資料の収集をおこなった。
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