研究課題/領域番号 |
08044016
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
沢田 正昭 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・研究指導部, 研究指導部長 (20000490)
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研究分担者 |
CON L.T. スミソニアン研究機構, フリマー・サックラー美術館, 学芸研究員
町田 章 文化庁, 文化財保護部, 監査官 (90000471)
巽 淳一郎 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 室長 (10110090)
西村 康 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・研究指導部, 室長 (80000488)
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キーワード | 陶磁器 / 陶石 / 釉薬 / 放射化分析 / X線分析 / 古九谷 / 美濃 / 唐津 |
研究概要 |
(1) 引き続き資料の収集と分析を継続的に実施した。美濃・瀬戸・九谷・唐津などの資料については、窯跡出上品のほか、消費地出土品としての東京大学構内武家屋敷跡出土品など、約260点の陶磁器片の分析をおこなった。海外製品については、ベトナム・タイ・カンボジアなどの陶磁器について分析を試みた。 (2) 陶磁器の胎土分析に際しては、(1)放射化分析による微量成分の絹成比をもとに試料相互の比較分類、(2)蛍光X線分析によるストロンチウム(Sr)・ルビジウム(Rb)・ジルコニウム(Zr)などの組成成分の定量的測定と分類、(3)釉薬や染め付け顔料の定量的分析による試料相互の比較分類、さらに(4)中国陶磁器の灰釉の鉛成分に着目した、鉛同位体比の測定から時代・産地の違いを探ることを試みた。なお、蛍光X線分析に際しては、陶磁器片からさらに小片を切り出し、表面を平滑にする。また、標準試料をもとに分析結果の信頼性・再現性を確認している。 (3)釉薬の化学組成はきわめて複雑で、蛍光X線分析による分析手法では慎重を期す必要があることがわかった。すなわち、釉薬の表面部分と下層部分では化学成分の含有量が異なるからである。たとえば、表面部分にはコバルト(Co)が、下層部分にはマンガン(Mn)や鉄(Fe)がより多く含まれているので、不用意に蛍光X線分析だけで比較検討できないことがある。 (4) カンボジアの土器に関する分析的研究は、11年度に現地で窯跡を発掘調査する機会が与えられており、スミソニアン研究者とともに現地に赴き、共同研究を継続する予定にしている。すでに一部の試料については分析をおこなっている。今後、試料数を増やして分析をおこなう予定。 (5) ワシントンDCのフリヤー・サックラー美術館において、分析的研究の国際研究発表会を開催した(1999年3月8日)。
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