研究課題
本年度は、日本国内でこれまで調査を行っていない東北地域を中心に漆の分析試料を収集し併せて技味に関する調査を行い、ドイツ国内ではベルリンやゴータ、ブラウンシュバイクの博物館などにある輸出漆器やイミテーションの調査を行った。またこのほか、関連の研究者を通じて数多くの輸出漆器の試料を収集して分析するとともに、日本国内では沖縄の琉球漆器の調査や分析を行った。その結果、ポルトガルで得た17世紀割後の資料の中には日本・中国産、ベトナム・台湾産、タイ・ビルマ産の3種の漆をそれぞれ使用した資料のほかに、ヨーロッパのラッカーを使用した資料もあるなど、東西文化交流史の観点から見てきわめて興味深い結果が得られた。.今年度は研究成果のまとめの年度として、10月にライブツィヒの国際会議、1月に研究成果公開費による大学と科学シンポジウム「海を渡った文化財」、3月にミュンヘンで日独共同国際シンポジウム「東アジアとヨーロッパのラッカー技術」など多くの機会を利用して成果の発表を行った。特に3月の日独共同国際シンポジウムでは世界18カ国から350名もの漆やラッカーに関する関係者が集まって、世界各地に所在する輸出漆器やラッカーについて研究発表・討議を行い、これまでに開催されたこの関係の会議としては、最大のものとなった。我々の研究に対する関心の高さを示すものであると考えられる。このほがにも日独共同出版として研究報告書(英語、ドイツ語)を現在印刷中であり、今年度は最終年度として十分な成果を上げることができた。
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