研究課題
国際学術研究
本研究は、国家環境保護総局および中国の研究者と共同し、環境汚染の内陸部への拡散状況を、郷鎮工業を対象とする現地調査によって明らかにすることを主目的とし、調査結果に基づき、環境汚染の内陸部への拡散を有効に阻止できる国内経済政策のあり方、および、地域格差の大きい中国の環境問題の解決に向けて我が国のとるべき有効かつ効率的な協力・援助のあり方を明らかにすることを目指す。荒山および竹歳が中心となり実施した郷鎮工業を対象とするアンケート調査を通し、1)郷鎮工業には、合弁や外資の導入により生産を開始、または拡大したものが多く、環境対策を自前で進めるための技術力が弱いことから、生産工程に環境対策を導入することはコストが大きいこと、および2)生産の再配置(工場閉鎖を含む)により、浄水場の共同利用を図ることなどを進めることが当面の環境対策として望ましいことなどを明らかにした。薛は、国家環境保護局・農業部・財政部・国家統計局が共同実施(1996年)した『全国郷鎮工業汚染源調査資料』に基づく分析を行い、郷鎮工業の環境汚染の現状、その産業別の構造、地域分布などに偏在が大きいことを明らかにし、郷鎮工業の環境対策には地域性への配慮が不可欠であることを示した。崔は、天津市環境保護局のスタッフによる天津市の郷鎮企業における環境政策と企業の対応に関する研究を進めた。李啓家は、中国における環境立法の現状と展開の方向性についての分析を進め、環境法には実施面で多くの問題が残されていることを明らかにした。この研究の総括として、国家環境保護総局が主催する検討会において最終報告を行い、政策的提言および継続して行われるべき将来の研究課題について国家環境保護総局関係者および中国側研究者との意見交換を実施した。
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