研究分担者 |
SAYSELL Dabi ニューカッスル大学, 化学科, 博士研究員
阿部 正明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90260033)
今村 平 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90113521)
LAMPRECHT Ge オレンジ自由州立大学, 教授
MCFARLANE Wi ニューカッスル大学, 化学科, 教授
A.GEOFFREY S ニューカッスル大学, 化学科, 教授
市村 彰男 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (50047396)
永澤 明 埼玉大学, 理学部, 教授 (40108452)
馬越 啓介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20213481)
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研究概要 |
本研究の目的は、レニウム錯体について、金属間の相互作用に焦点をあてながら、酸化還元反応性を明かにすることである。レニウムは周期表の中でも最も多くの酸化状態をとる元素であり、酸化還元反応性を調べるのに適している。平成8年度には、主に研究の対象として適した錯体の合成に力を注ぎ、共同研究者グループとの面密な連絡のもと興味深い構造や性質をもつ錯体を数種合成した。 研究代表者の研究室では主にRe-Re間に多重結合をもつ複核錯体を新たに合成し、その構造や酸化還元反応性を明かにした。Re_2の酸化数が、(III,IV)および(IV,IV)の二つの状態の錯体の構造解析により、両者のRe-Re距離の比較から、金属間結合に関わる結合軌道の性質を初めて明かにした。 イギリスのSykes教授の研究室との間では、上の複核錯体との比較の上で重要となる単核のオキソレニウム錯体をいくつか合成、この研究をまとめるため、Sykes教授の研究室のSaysell博士が現在申請代表者の研究室に滞在して研究を続けている。ここでの新しい展開は、単核錯体に非配位のピリジル基を導入することに成功した点であり、この非配位基を別のReあるいは別の金属イオンを配位させることにより、新たな複核構造の錯体が合成出来る。この錯体を用いて酸化還元と連動した金属間相互作用の変化を調べるのが次のアプローチである。 単核オキソレニウム錯体は、南アフリカのLamprecht教授の研究室でも、独自の展開があり、薬品としての応用が開けつつある。この面からの共同研究は次年度に精力的に進める。今年度は、関連錯体として、類似構造のロジウム錯体の構造研究をまとめた。 このように、本研究計画は順調に成果を挙げつつあり、次年度の酸化還元反応性の詳細な研究に向けての研究計画の再検討、打ち合わせなども済ませている。
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