研究課題/領域番号 |
08044048
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
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研究分担者 |
V.YA Lipenko ロシア北極南極科学研究所, 主任研究員
亀田 貴雄 北見工業大学, 助手 (00233974)
前 晋爾 北海道大学, 工学研究科, 教授 (80022672)
堀 彰 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60280856)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
DUVAL P. Laboratoire be Glaciologie et Geophysique de 1'Environnement Prof.
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 氷床コア / 古気候 / 古環境 / クラスレート水和物 / ラマンスペクトル / X線回折 |
研究概要 |
本研究の目的は、X線回折法やラマン散乱法を用いてボストーク氷床コアの内部構造を精査すること、およびこれに基づいて過去の気候・環境変動データの再検討を行うことである。研究成果の要点は以下の通り。 (1)氷化過程と気泡・クラスレート数密度:クラスレート水和物の数密度が、水素同位体組成δDと良い相関を示すことを見出した。δDが、氷床表面(あるいは逆転層)の温度を反映するのに対して、クラスレート水和物の数密度は表面下数十mの氷床内部の温度を反映していると解釈され、新たな情報源として注目される。 (2)クラスレート水和物の成長過程:気泡からクラスレート水和物に変わる遷移のプロセスが、ほぼ解明された。特に、核生成以後のクラスレート成長過程の理論モデルは満足すべき高いレベルである。 (3)気体の分別:クラスレート水和物の生成によって、二酸化炭素の濃度分布にいかなる変化を生ずるか、という点がコア解析の立場からもっとも知りたい情報である。しかし、二酸化炭素は微量なために、N_2とO_2の分布を測定して、氷床における気体の分別過程を明らかにした。遷移領域のはじめでN_2/O_2比の平均値が大気組成3.7より低い値となり、深くなるにつれて徐々に3.7に近づく。しかし、各深度において個々のクラスレート水和物のN_2/O_2比は大きくばらつく。この一見不思議な現象も、上記の生成過程と気体の拡散過程を考えることによって、理解できた。 (4)結晶組織:偏光観察の結果、ボストーク最深部の氷の結晶粒径は、コア直径(100mm)を越えることが分かっていたが、X線回折法で見ると微細な組織構造を持っているかとが分かった。角度にして、数十秒から数分のサブ・バウンダリ-を多数含んでいる層状構造を明らかにした。氷床の塑性流動メカニズムと関連して、今後の研究課題である。
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