研究課題/領域番号 |
08044056
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20201379)
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研究分担者 |
中田 仁 千葉大学, 理学部, 助手 (80221448)
杉田 道昭 日本原子力研究所, 研究員
吉田 宣章 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80182773)
水崎 高浩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50251400)
有馬 朗人 東京大学, 理化学研究所, 理事長 (40011465)
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キーワード | Qフォノン / βバンド / γバンド / 混合対称性状態 / 相互作用するポゾン模型 / 超対称性 / U(6|4)群 |
研究概要 |
原子核集団運動の解明に関して、今年度は次の項目に於いて特に成果が見られた。 1.Qフォノン励起 偶々核のQフォノン構造を奇核へ発展させ、特にU(6|4)の超対称性の場合についてはその構造がほぼ完全に解明されている。即ち同じ表現空間内の固有状態については、核表現空間内の基底状態に、U(6|4)の四重極演算子を作用させて、励起固有状態が全て生成される事がこれまでに示されている。超対称性演算子の導入により、異なる表現空間の間でも固有状態から固有状態を生成できる事を示した。 別の超対称性であるU(6|12)、U(6|20)の場合についてもQフォノン理論を拡張している。 以上の成果はケルン大学グループとの共同研究による。 2.βバンドの構造 旧来の集団運動理論では独立して存在するβ振動モードについて、その励起状態としてのβバンドの構造を研究した。相互作用するボゾン模型により、現実の原子核に対応するパラメーターを用いた場合に、β振動モードは孤立して存在せず、γ振動の2量子励起と強く結合する事を示した。この結合により、γバンドの2^+状態と、いわゆるβバンドの0^+状態の間のE2遷移などは著しく強くなる事が示された。この理論的帰結をエール大学及びケルン大学グループと共同で、実験データと比較して検討し、多くの原子核で以上で述べた傾向が新たに見出された。 3.混合対称性状態の同定 Xe領域からCe領域までの多くの原子核で、陽子-中性子についての1^+及び2^+混合対称性状態を発見した。これは主としてケルン大学グループとの共同研究である。 4.O(6)極限での表現空間の連結 O(6)極限での原子核でのσ量子数の異なる表現空間の間で固有状態を生成する演算子を、ケルン大学、エール大学と共同して見つけた。
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