研究概要 |
(a)シラン・水錯体の回転スペクトル シリコンの同位体^<28>Si,^<29>Si,^<30>Siおよび酸素の同位体^<16>O,^<18>Oを含む錯体についてJ=1←0,2←1,3←2遷移を検出した。各遷移はそれぞれ2、4、5本の吸収線に分れ、それらはさらに僅かに分裂した2ないし3個の成分から成り立っていることが観測された。得られた回転定数からSi.Oの距離は3.38Aと求められた。この値はCH_4.H_2O錯体でのC.O距離3.70Aよりはるかに短い。一方遠心力歪定数から求めた力の定数は大きく、シラン・水錯体の分子間結合は通常のファンデルワールス錯体におけるものよりもかなり強いことが推定される。シュタルク効果から双極子モーメントを1.736Dと決定した。観測されたスペクトルパターンから安定なコンフォメーションを推定するために群論的考察を行った。 (b)Na_3における擬回転スペルトル 最近ペンシルバニア大学で測定されたB(u=1)-X遷移のスペクトルが、以前に構築したフォーマリズムと計算プログラムで再現できることを示した。 (c)メタノールダイマーのマイクロ波スペクトル K=1準位におけるトンネリング分裂に対する表式を構築し、それに基づいて計算プログラムを作成した。これを基礎にK=1-0,1-1遷移の実測スペクトルを検討し、K=1準位のトンネリング分裂した準位間の遷移を明確に帰属することができた。最小自乗法解析を行い、回転定数、内部回転分裂、孤立電子対交換トンネル分裂等について情報をえることができた。
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