研究課題/領域番号 |
08044081
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮下 精二 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10143372)
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研究分担者 |
MIKESKA H.J. ハノバー大学, 教授
田崎 晴明 学習院大学, 理学部, 助教授 (50207015)
高橋 實 東京大学, 物性研究所, 教授 (40029731)
利根川 孝 神戸大学, 理学部, 教授 (80028167)
斯波 弘行 東京工業大学, 理学部, 教授 (30028196)
MIKESKA Hans-Juergen Inst.for Theor.Phys.Hannover U.Professor
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 量子揺動 / シングレットペア / トンネル現象 / 量子相転移 / 金属強磁性 / 平坦バンド |
研究概要 |
量子揺動の強い系の新しい物性に関して、量子スピン系や強結合電子系(ハバ-ド模型)での新しい秩序の在り方やその運動形態について研究を進めた。 反強磁性ハイゼンベルク模型における空間構造の効果に関して、スピン1と1/2が混在する系において、スピン一重項の配位の取り方によって、いろいろ異なった非磁性相が現われ、それらの間に基底状態と励起状態の間のギャップが消失する相転移が存在することを見出した。[利根川、宮下、ミケスカ]また、本質的に等価な系として梯子格子を希釈した模型などの研究も進めた。[ミケスカ]また、 量子スピン系に不純物による磁気秩序への効果としてランダムな結合をもつスピン1の反強磁性ハイゼンベルク鎖の相関関数の研究や、スピン1の一次元鎖にわずかにスピン1/2をドープした系の磁気誘起を量子モンテカルロ法を用いて、その形状や温度変化を研究し、誘起モーメントによる現象の不純物濃度や結合定数依存性、さらにはその温度依存性などを明らかにした。特にこれまで十分希薄と考えられてきた3%程度の不純物でも低温では相当大きな磁気秩序が現れることが見つかり、けっして全くの非磁性物質として解析してはならないことがわかった。そのため低温での準励起の性質などにも新しい特徴が見つかる可能性が出て来た。[ジョリク-ル、ホス、宮下]量子効果と格子希釈効果の相乗作用として現われる量子グリフィス相の特徴を明らかにするため、横磁場イジング模型を希釈正方格子上で調べ、局所帯磁率の発散などを発見した。[池上、宮下、リーガー、ヤング] 古典的な基底状態には存在しない量子揺動によるエントロピー効果による新しい相の出現やその相図について詳しく調べた。特に、対角化による研究では調べられる系の大きさが限られているため相転移の場所を明解に決めることが出来なかったが、波動関数の性質を調べることで小さな系でも相の移り変わりが明解に現われることを示した。また、対応する古典系で有限温度でエントロピーのために類似な相転移が起こることを見出した。[宮下、仙田、斯波]また、量子モンテカルロ法や転送行列法、ベ-テ仮設の方法で低温での熱力学的性質も調べた。[利根川、宮下、エバ-ツ、高橋] ハバ-ト模型における強磁性出現機構や磁気秩序の形態について研究し新しいタイプの強磁性出現機構を発見するとともにそこでの秩序の性質を明らかにした。[田崎、渡部、宮下] 更に、これらの量子状態のダイナミックスの特徴についても研究を開始するに至った。
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