研究課題
国際学術研究
1996年8月朝山邦輔、石田憲二、天谷喜一が第21回低温国際会議(プラハ)1996年強相関物理の国際会議(チューリッヒ)に出席し更に、ダルムスタット大学、ベルリン大学、グルノ-ブル原子核研究センター、ロシア科学アカデミー(モスクワ)、パビア大学(ローマ)を訪問し、重い電子系物理、高温超伝導体に関する研究成果発表(招待講演を含む)、情報収集、交換、共同研究の打ち合わせ等を行った。一方、同年9月シュテ-クリッヒ教授(ダルムシュタット大学)を招聘し、重い電子系超伝導体についての共同研究の打ち合わせ、成果の交換、討論を行った。1997年1月フル-ケ博士(グルノ-ブル原子核研究センター)を招聘し、重い電子系超伝導体、酸化物高温超伝導体について研究成果の交換、討論を行った。同年2月キャンベル教授(パリ南大学)を招聘し、高温超伝導体における渦系の運動およびスピングラス相の状態について研究成果討論を行った。同年3月北岡良雄、石田憲二が第5回超伝導国際会議(M^2S、北京)に出席し、高温超伝導体並びに関連物質について、研究成果発表(招待講演を含む)討論、情報収集を行った。また、三宅和正がグルノ-ブル原子核研究センターを訪問し、強相関電子系の理論的研究について情報交換討論を行った。CeCu_2Si_2には超伝導相(s相)と磁気相(A相)が共存し、両者はCuとSi濃度の微妙なずれから出現する。s相はd波超伝導を示し、A相の存在はs相の性質に影響を持つがその性格は未だ不明である。UPt_3は三重項超伝導を示す事が討論された。三重項対の超伝導はこれが最初である。ク-パ-対のスピン軌道相互作用は弱く、三重項スピンの方向は〜1000G程度の弱い磁場で磁場方向に自由に配向する。酸化物高温超伝導YBa_2(Cu,Ni)_3O_7系でNi添加によるCuの1/T_1の増大はTcの減少にスケールする。これより引力の原因は電荷のゆらぎではなくスピンにある事が結論された。Tc最高を与える水銀系でCuO_2の層数が3層より4層に増えるとTcは134Kから123Kに下がる。NMRの解析によりこの原因は4配位のCuO_2面にホールが入りにくく、また良質の試料が出来にくいためであると結論される。非銅系酸化物Sr_2RuO_4はp波三重項超伝導の可能性が高い事を結論した。
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