研究概要 |
平成8年度は^9Liのクーロン分解反応の実験および中性子相関の測定を実施する予定であったが、テスト実験の結果、^9Liの実験については分解後の粒子の識別に問題があること、中性子相関については検出器の配置等についてまだ検討の余地があることが明らかになった為、平成9年度に予定されていた^<6,8>He,^<11>Liのクーロン分解の実験を先行して遂行した。 この実験のために荷電粒子測定系の整備(偏向電磁石の設置、シリコン検出器-プラスチックシンチレーターの検出器系の新設等)を行なった。これらは当初の設計通りの性能が確認でき、^<6,8>He,^<11>Liのクーロン分解反応のデータを収集することができた。データの解析は研究協力者の岩田佳之、J.J.Kruse,J.Wangらを中心として進行中であり、エネルギー較正等の予備的解析が終了した段階である。平成9年3月には家城・岩田が渡米して解析結果について議論・検討し、又、平成9年度に予定されている実験の準備を行なう。 平成8年度に導入されたプラスチック検出器は軽い重イオンを核子当たり50MeV程度まで測定するが、そのシンチレータ応答について詳細なデータが得られ、エネルギー較正の方法を確立した。その結果、今回導入した検出器系で^<7,8,9>Liの同位体分離が充分な分解能で可能であることが明らかになった。又、Neutron Wallについても、予備実験の際に問題となった点(時間較正の方法、測定回路系の異常動作など)について解決することができた。その結果、^9Liの分解反応をはじめとする今後の実験を速やかに実行する目処がついた。この結果については論文にまとめて投稿中である。 又、平成8年度に新たに、「中性子ハロ-核のアイソバリックアナログ状態」をテーマとする実験を提案し、プログラム採択委員会によって採択されている。
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