新発光材料の開発に関する共同研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08044111
• 研究機関: 岩手大学
• 研究代表者: 馬場 守 岩手大学, 工学部, 教授 (20111239)
• 研究分担者: SOKOLSKA I. Div. Chemical Phys., Inst. Low Temp. & Struc, Scientist ; CYWINSKI R. Div. Chemical Phys., Inst. Low Temp. & Struc, Senior Sci ; MUGENSKI E. Div. Chemical Phys., Inst. Low Temp. & Struc, Head ; 西館 数芽 岩手大学, 工学部, 助手 (90250638) ; 谷口 宏 岩手大学, 工学部, 講師 (00003880) ; 柏葉 安兵衛 岩手大学, 工学部, 助教授 (30003867) ; 池田 俊夫 一関工業高等専門学校, 校長 (80005230)
• キーワード: レーザー / 発光材料 / 蛍光 / 光多重散乱 / アルカリハライド / 遷移元素 / カルコゲン / 過渡吸収

研究概要

本年度は主として次ぎのテーマに関して共同研究を遂行した.
1.アルカリハライド結晶の光物性の基礎的研究
d軌道やf軌道に不完全殻をもつ遷移金属またはランタノイドイオンにおける光学遷移の多くは、禁制遷移であるため発光効率は小さい。しかしこのような禁制遷移も、何らかの方法で一部許容遷移となり、レーザ発振が可能となる。アルカリハライド結晶は、非常に対称性のよい結晶構造をもつため、上記の不純物イオンは大部分が禁制遷移のままであり、レーザ発振によって有効な発光種とはなり得ない。そこで、結晶場の対称性を低下させる方法の一つとして、遷移金属またはランタノイドとカルコゲンを二重に添加したアルカリハライド結晶を作成し、その発光寿命をピコ秒領域の高時間分解能で計測した。新しい固体レーザ媒体としての基礎的特性を引続き検討中である。
2.微小球レーザの物理と応用
これまで、透明な色素溶液を含む微小球からのWhispering Gallerly Mode(WGM)と呼ばれるレーザ発振に関する研究を行ってきたが、今回新たに、光多重散乱媒質(濁り水色素溶液)を含む微小球からのレーザ発振に関する研究を推進し、明確なしきい値を有する発振を観測した。
3.up-conversion laser媒体に関する基礎的研究
励起準位から更に高励起準位への過渡吸収励起過程をへて発光する、励起波長のレーザ発振(up-conversion laser)が報告されており、活発な研究がなされつつある状況である。本研究でも,PrをドープしたLiTaO_3結晶の蛍光スペクトルと蛍光寿命の測定を行い、up-coversion laser媒体の可能性を検討した。この点に関して、来年度も引き続いて研究を行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] K.Nishidate et al.: "Cellular Automaton Model For Random Walkers" Physical Review Letters. Vol.77 No.9. 1675-1678 (1996)
• [文献書誌] K.Nishidate et al.: "Cellular Automaton Model For Biased Diffusive Trafic Flow" J.Physical Society of Japan. Vol.65 No.11. 3415-3418 (1996)
• [文献書誌] H.Taniguchi et al.: "Microdroplet Dye Laser Enhancing Effects in Dye-Highly Scattering Intralipid Mixture" Appl.Phys.Lett.Vol.69 No.6. 719-721 (1996)
• [文献書誌] Y.Kashiwaba et al.: "Selective Migration of Cd in Amorphous Cd-Sb Films" Japan.J.Appl.Phys.Vol.35 No.7. 3825-3829 (1996)
• [文献書誌] H.Taniguchi et al.: "Recent Progress in Research and Development on Micro-Spherical Lasers Using Conventional Dye-Doped Solids and Liquids,and Dyes Mixed in Highly Scattering Media" 2nd International Conference on Tunable Solid State Lasers. Abst.L9- (1996)
• [文献書誌] H.Taniguchi et.al.: "Highly Scattering Effect of Substituted Intralipid on Dye-Doped Microdroplets for Lasing Enforcement" Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO) Europe '96/Europian Quantum Electron Conference. Abst.CThI64 (1996)