研究概要 |
平成8年度の調査研究の目的であった微細化沸騰特性の安定性と限界熱流束の把握に向けて,次の成果が得られた. 1.プール沸騰系における気泡の微細化設置を完成させ,蒸気泡の挙動を高速度撮影することができた. 2.衝突液滴沸騰系における液滴の微細化装置を完成させ,液滴の微細化挙動を高速度撮影することができ,かつその時の固液接触周期を計測した. 3.上記1と2の沸騰曲線を得た. 更に,上記の各項目について以下のことが判明した. 1.蒸気泡は合体し,膜沸騰沸化する傾向が強く,微細化させるためには蒸気泡周囲の液を高いサブク-ル状態に保持する必要がある。 2.固液接触周期が短ければ短い程,微細化の飛散の強さが増すことが判明した. 3.上記1と2の沸騰曲線において,微細化沸騰発生時に示す加熱面温度はほぼ同じ値を示すことが判明した. なお今後の研究の展開について, (1)ホログラフィ干渉法を用いたリアルタイムでの蒸気泡の挙動撮影-これについては通常の高速度撮影はできたものの,ホログラフィ干渉撮影については失敗に終わった.従って平成9年度はこの撮影を成功させるべく,撮影のノウハウを知る資料収集が不可欠である. (2)微細化現象のモデル化-これについては“間欠性固液接触モデル"として目下構築中であるが,この完成に向けては,過熱液の“ゆらぎ"問題,蒸気泡の安定・不安定性,気泡周囲流体の乱流特性等に関する基礎データが必要であり,これに関して世界のトップレベルにある研究室スタッフとの討論ならびに資料収集が不可欠である. (3)限界熱流束の整理式の導入-これについてはその導入の基礎となる,もう一つ別の液・液直接接触沸騰系での蒸気泡(この蒸気泡内部には高温溶融液が存在する)の微細化・蒸発過程に関するより詳細なデータを採取する必要がある.
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