研究概要 |
将来の極超音速航空宇宙機の構築には、先端繊維強化耐熱高分子基複合材料の開発が不可欠である。とくに構造部材としては圧縮強度特性の向上と強度発生メカニズムの理解が重要である。しかし、従来、圧縮強度に影響を及ぼす数々の因子を系統的に変化させた実験的研究は数少ない。本共同研究は、武田らが開発した、『任意パルス制御式衝撃損傷進展プロセス測定装置』を用いて、PMCの圧縮強度のひずみ速度・温度依存性の測定、衝撃負荷途中で回収した試験片の微視観察を行うとともに、得られた実験結果に基づいてミシガン大学において理論解析を行い、PMCの圧縮強度のひずみ速度・温度依存性を実験・理論両面から明らかにすることを目的としてした。とくに、従来までに提唱されてきた理論と本研究で構築している理論との相違を明らかにするために、構成材料の特性が自ら測定可能な熱硬化性樹脂(ビニルエステル樹脂)を用いた、カーボン、または、ガラス一方向繊維強化タイプのPMCを選定し、繊維体積含有率の異なる試験片(V_f=0,10,20,30,40,50,60%)の製造を行い、衝撃圧縮実験により圧縮強度特性のひずみ速度・温度・繊維体積含有率依存性を実験的に明らかにするとともに、理論を実証した。 CFRPとGFRPとで基本的な傾向に相違は見られなかった。V_fが増加するに従い、破壊様相が延性的から脆性的へと変化し、強度増加は増加するが、増加率は次第に減少していく。ひずみ速度が10^<-3>から10^3/sまで増加すると強度は1.4倍となる。温度が室温から100℃になると、樹脂の軟化により破壊様相が繊維キンキングから微小座屈へと変化する。
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