研究課題
熱化学分解サイクルUT-3による水からの水素製造プロセスを提案し、熱源として太陽熱を用いることを主な検討課題としている。太陽熱を集熱して800℃の水蒸気を得て、それを反応物質のみならず熱媒体として直接反応器内に導入し、反応器は外部との熱交換の無い断熱型とする方式を提案した。これにより、従来から提案されてきた反応器の外部加熱方式に比較すると操作が容易であるばかりでなく、総合的な熱効率も50%を超える高効率が期待できることが見出された。以上の結果を論文にまとめて、第10回の水素エネルギー国際会議や太陽エネルギーの国際学術誌に発表した。太陽熱ばかりでなく、現在稼働中の石炭燃焼発電所や軽水炉による原子力発電所と結合させて電力と水素のコージェネレーションを行う方式についても熱収支をとって検討している。今後は4つの構成反応の平衡関係を調べて最適反応条件を明らかにすること、太陽エネルギーの間欠性が反応に与える影響と蓄熱器の挙動を理論的、実験的に検討していくこととなる。そして工業的な規模のプラントの概念設計を水素エネルギーに関して、Bilgen教授および吉田に対して、ユネスコ本部より成書をまとめるよう依頼があり、Wiley出版社より出版することを計画している。これも本共同研究の1つの大きな成果となろう。
すべて その他
すべて 文献書誌 (4件)