研究分担者 |
MORTEN Lind デンマーク工科大学, 自動制御システム研究所, 教授
FIUM R. Niel リソ国立研究所, システム分析部門, 研究員
LEIF Lovborg リソ国立研究所, システム分析部門, グループ長
PAULIA Hanse デンマーク, マルチメディア芸術学院, 学校長
梅室 博行 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 講師 (80251651)
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研究概要 |
本研究は,大規模・高度化したマン-マシン・システムにおける人間の挙動,および人間特性を解析するための認知モデルに基づくシミュレーション・アプローチに関する方法論を,大型船舶の航海作業を実例に展開したものである.当初の研究目的に対して,今年度の研究成果として得られた知見は以下に記す通りである. (1) 昨年度実施した航海作業における非定常タスクの代表例としての「衝突回避タスク」に対するシミュレータ実験のデータをもとに,船長(ナビゲータ)の意思決定プロセスを分析した.このタスク分析結果に基づき,衝突回避のプロセス・モデルを構築した.現在,コンピュータ・シミュレーションが可能となるモデルを作成中であるが,それと同時に机上でのモデルの動作確認はほぼ完了している. (2) 既に構築している「計画コース追従タスク」に対する船長の意思決定プロセスのモデルをさらに精緻化されたものに改善した.これをリスク分析に利用する方法論を完成させ,一部システム化も完了している.ここでは,タスク実行時の注意の配分やワークロードなどの人間特性の状況を再現する機能,さらにこれらのデータを簡易に評価・分析機能を実現している.また,さまざまな状況に対してシミュレーションを簡易に実行することが可能となるように,航海条件の簡易変更機能,シミュレーション結果の出力機能なども備えるシステムとなっている. (3) 上記(2)に関連して,これまで構築してきた認知モデルに,タスク実行中の船長の短期記憶の状態をトレースする機能を付加した.これによりタスク遂行中のそれぞれの時点におけるメンタル・ワークロードを予測することが可能となった.このモデルを航海時のさまざまな条件下でシミュレーションを行うことにより,さらにリスク分析の効果が上がることが期待できる.
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